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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2012/03/16

バンブーロッドクロニクル 番外編

Katana 704


いい竿ってなんなのでしょうか・・・

記憶をたぐりながらフライロッドの話を書いていると、竿の善し悪しの基準ってモノが余計にわからなくなってしまいます。

2本の竿を比較検討することを続けて、どちらを選択するかというチョイスをやりつづけていくと、最後に1本の竿が残るわけです。
でも、はたしてそれがベストな1本なのかと問うと、
「なにかおかしいんじゃないか」
といういう違和感が消えません。

手元が太く、先が細くなっていて、振ったら適当にしなり、フライラインを通すガイドさえ付いていれば、その棒状の物体はフライロッドとして使えるわけです。
作った人やメーカーがフライロッドだって言えば、それはフライロッドだし、
使っている人がフライロッドだと思えば、どんな竿でもフライロッドなんですね。
世の中にあるフライロッドというフライロッドは、やっぱりフライロッドなんですよ。

だったら機能性はどうなの?っていう疑問がでてきます。
でもねえ、フライロッドは漁具ではないのだから機能性云々は絶対的なものではないですよね。

外見や感触という部分は、もう個人の感覚の問題なので、お好きにどうぞ、としかいえません。
そこに、商品としての価値というモノも絡んできます。

いい竿かどうかの判断は、価値というお金に換算できる要素を排除しても、結局は個人の嗜好や好き嫌いっていう感覚の部分にまかせるしかないわけです。

もうひとつは、その竿が持つブランドイメージって言うのでしょうか。
ステータス性と言い換えていいのかもしれませんが、自分が使っている竿を他の釣り人に見られたときに、
「その竿は◯◯ですね(暗に、いい竿を使ってますね~)」
という羨望の視線を浴びたり、うらやましがられることに、
おそらく本来的に自己顕示欲が強い釣り人は独特の快感を感じてしまう、
という、けっして否定できない欲望があると思います。

フライロッドを単純に機能性や便利さだけで選択してるわけではない、
という意味では、クルマやバイクと一緒ですよね。
また、歴史を所有しているという意味では骨董品的なモノもあるし、
手指の感覚の延長線上にあるという部分では、楽器にも似ているのかもしれません。

クルマや骨董品、楽器に関してならば、玉石混淆とはいえ、膨大な情報や批評が手に入るじゃないですか。
ところが、釣竿、フライロッドに関してはどうなんでしょう。
戦略的パブリシティ以外の情報って、ほぼ皆無かもしれません。
商品経済の中で、まあ、当然と言えばそうなのですが・・・
それにしても、もうちょっとちゃんとした批評があってもいいような気もします。













2012/03/05

バンブーロッドクロニクル その3

「レナード・・・」

この頃のレナードには、いまだ複雑な思いが・・・


結論から書くと、僕がはじめてレナードを手にしたのはかなり後のこと。

僕がペゾンの呪縛から逃れた頃、レナードは既にレナードじゃなくなっていました。
米国の釣り具業界事情はまだこの国では藪の中の出来事。
ひさしぶりに店頭に入荷した新しいレナードの竿を、これがレナード・・・、と、いぶかしく思いながらも眺めていました。
そして、ようやくガラスケースの鍵を開けてもらい、フェルールを繋いでみて、
「なんだこの竿は、欲しかったレナードじゃないやんか」
と、呆然とすることになるのです。

それまでの潔いまでのシンプルな外観を捨ててコテッとした半端な厚化粧にはしり、いかにも高価そうなレザーのロッドチューブに入ったレナードという名前の付いたバンブーロッド。
それはコスメだけではなく、アクションまで以前の、いわゆる赤巻きのレナードとは異なる、まったくの別物でした。

その数年後、レナードには最後の大きな変化があり、一般には評価の高い、いわゆるマックスウェル・レナードになるのですが、僕にとって、マクスウェル時代にはレナードは既に終わっていました。
なんだか綺麗ではあるけど黒くってへんなバンブーロッドだと思っていたT&T、その創業者の片割れがレナードの歴史に最後の変革を加えたことは、当時の僕には知るよしもなかったのですが。

今から考えると、性能的に優れたグラファイトロッドが伝統的ないかにも竹竿らしいバンブーロッドに引導を渡したんでしょうね。
そこには、グラファイト時代のバンブーロッドのあり方を模索する初期の段階で、いくつかのメーカーがバンブーロッドの本質を離れて、工芸品的なルックスを持ったグラファイトロッドに近いアクションのロッドを作ろうとして、誤った袋小路へと自らはまり込んでいった姿が垣間見られます。

僕の偏見かもしれませんが、西海岸のバンブーロッドメーカーが1970年代の終わりから80年代にかけての淘汰から生き残ったのは、伝統に執着することなく、ホロー構造などの新しい試みを取り入れながら少しずつ変革を積み重ねていったからだと思います。
対して、レナードは伝統に固執したままで行き詰まり、一気の改革を試みて失敗したのでしょう。

その後、僕が最初に手に入れたレナードは、A.C.M. 時代の38H。
クラッシックタックルショップからでした。
ふつうの赤巻きでよかったんだけど、つい変わったモノに手を出してしまいました。

この竿はずっと僕のお気に入りで、まだまだイワナがいっぱいいた富山の渓流で使い回していた記憶があります。
その頃愛用していた竿は、このレナードと、スコットのG854、そしてウインストンの7’6”#3のグラスロッドでした。
どれかに偏ることなく、バンブー、グラファイト、グラスとそのときの気分と状況に合わせてまんべんなく使っていましたね。

未だバンブーロッドマニアにはなっていなかった、ってわけです。


バンブーロッドクロニクル その2

「2本のショートロッド」


この写真も、本文とは関係ありません・・・
Alchemy M50 & Jim Hidy 7'9" #4


ファーロー「ミッジ」と、ペゾン「フェザーウェイト」

「ファリオクラブ」がキャスティング練習ロッドとなりはてている頃、僕が渓流で使っていたバンブーロッドはこの2本でした。
「ミッジ」は6フィート、「フェザーウエイト」は6フィート3インチ、どちらもショートロッドです。

もちろん、バンブーロッドばかりじゃなくグラスロッドやグラファイトロッドも使っていました。
それも、オービスではなくスコット。グラスのマルチピースとグラファイトのツーピース。

ちなみに、当時、1980年頃のフライロッド、定番中の定番はオービスの「セブンイレブン」7’11”#4と「ファー&ファイン」7’9”#5だと僕は思っています。
グラファイト時代になって、この国の渓流で使われる標準的なフライロッドは8フィート前後あたりに落ち着いたわけです。それまでは7フィートから7フィート6インチが標準だと言われていました。

いずれにしても、僕が持っていた2本のバンブーロッドは、標準から考えると、かなり短かったわけです。重厚長大な「ファリオクラブ」での失敗を糧に、バンブーロッドは重いから短い方がいい、という単純な考えで選んだとも言えますが、他にも短い竿はあったので、それだけでは選択理由になりえません。
だったら、この2本の竿を手に入れることになった決定的な理由はなんだったのか。

『リーウルフは、この竿でアトランティックサーモンを釣る』!!
『6’3”の竿で4番ラインがフルラインキャストできる』!!

というキャッチコピーに欺された、いや、のせられた。

そんなことは、いま考えたら当たり前なんですね。
だって、どんな竿を使っても、ラインさえ切れなければでかい魚を釣ることは可能です。
また、4番ラインのフルラインキャスト(ココがキャストだってことに注意)なんて、とんでもない竿でさえなければ、訓練すれば誰にでもできるわけです。

で、この2本、かなり癖が強いというか、強烈な竿でしたね。
「ミッジ」は6番ラインが指定されていました。
簡単に言えば、この竿は9フィート、3ピースのライトサーモンロッドの上から2本だけ。ようするにミッドセクションにグリップを付けた竿が原点だということ。
実際に振ってみると、6番はムリヤリって感じ、4番ラインで使えました。
6番が指定されているのは、サーモンフライはデカいので最低でも6番ラインを使わないと投げられないのでそうなったようです。
小さなグリップがカッコイイ竿でした。

「フェザーウエイト」はいい竿でした。
タイトなポイントにもビシビシとフライが入る。藪こきをしても、滝壺にはまっても太いティップはけっして折れない。
ただ、当時の弱いナイロンでは4X以下のティペットでは使い物にならず、手のひらサイズの魚はあわせた瞬間に片っ端から後ろへ飛んでいって岩に当たってお亡くなりになるという・・・

やっぱり普通の竿を買った方がよかったんじゃないか、と、いつも後悔しながら面白がっていたような気がします。




2012/03/03

バンブーロッドクロニクル その1

写真と本文は関係ありません。あしからず・・・
Alchemy M50 & Katana 704


最初に買ったバンブーロッドは、「ファリオクラブ」だった。

そのときの選択肢は、バンブーの「ファリオクラブ」とグラファイトの「スプリングクリーク」
今から考えればとんでもなく意味のわからない選択なんだけど、目的がまだ行ったことのない西別川でニジマスを釣ることだったので、なんとなくこんなチョイスになったわけだ。
だって、フライはホッパーだけ持っていればいい、と聞いていたから、デカいドライフライをぶん投げるための「ファリオクラブ」と、湧水の川=「スプリングクリーク」だろ!って。

確かファリオクラブが11万ほど、スプリングクリークが8万ぐらい。
ちなみに、バンブーの「ライムストーンスペシャル」や「バテンキル」は6万程度だったような気がします。
オービスではグラファイトロッドがバンブーロッドより高価だったんですね。
そうそう、「レオナルド」(当時はレナードとは発音しませんでした)の赤巻きは13万円台だったような気がします。

当時、フライロッドにはランク付けみたいなモノがあって、上から、ナチュラルケーン、グラファイト、インプリケーン、グラスロッド、って順番になってた。
1970年代後半ってそんな時代だったんですよ、この国のフライフィッシングの歴史において。

ナチュラルケーンのなかでも、"Pezon et Michelle"のバンブーロッドは史上最高最強のフライロッドとして、"Hardy"や"Leonard"を時代遅れの竿としてこき下ろしたようなカタログをバックに、国内市場を席巻していました。
そう思っていたのは一部の人だけだったのかもしれないけれど、僕が手に入れた情報には強いバイアスが掛かっていたんですね。
そんなわけで、僕はバイトで稼いだお金を注ぎ込んで「ファリオクラブ」を買ったわけです。
丸善でリッツの著作 "A Fly Fisher's Life" もオーダーしました。

でも、夏休みの西別川で使ったのは、そのあとで手に入れた当時最新のロッド、「Scott Power Ply G906」でした。
昼の長い夏の北海道で、早朝からどっぷり暮れるまで、何日も竿を振り続けるには「ファリオクラブ」は重すぎたんですね。

「ファリオクラブ」は、そのあとずっと、僕のキャスティング練習用ロッドとして活躍することになるのですが・・・





2012/03/02