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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2018/10/23

オリジナル "LOOP REEL" の使い方

約30年ほど前に開発されたラージアーバー・フライリールの元祖ともいえる "LOOP REEL" は、LOOP というブランドを離れたあとも、製造元であった Danielsson 社で "Fly Reel ORIGINAL-Series" として、外観はわずかに変わりましたが、構造的には同じものとして今も作り続けられています。




http://shop.danielsson-flyreels.se/en/fly-fishing/fly-reels/original-fly-reel/

Even today, 30 years later, the Original Danielsson fly reel has no equal when it comes to low spool weight and extreme low startup inertia. The secret lies in the six bearing assemblies which provide a symmetrical cradle for the spool. The design utilizes the bearing’s own friction by preload. This means that you can set a low starting resistance and still avoid overrun or backlash. The practical benefit means you can fish with VERY thin tippets and maintain complete protection and control.





この "LOOP REEL" は私が愛用しているリールのひとつで、その独創的な構造から、基本的には「壊れる部分がない」と言っていいほどの丈夫なフライリールです。

機構的にはスプールをベアリングで両サイドから押し付けることで回転にテンションを掛けてスプールのオーバーランを抑えるというシンプルな構造で、ドラグもクリックも無いのですが、だからといってそれが問題になることもなく大きなサイズのものはサーモンやスチールヘッドの釣りにも十分使えるフライリールです。

ただ、このリールには使用するにあたってひとつだけ注意すべき問題点とも言えるポイントがあります。




このリールを不用意に地面に置くと、剥き出しのスプールやベアリングの回転部分に微細な砂やシルトが付着してスプールを回すとガリガリと引っ掛かったり、酷いときはまったく回転しなくなってしまう場合があります。
それはほとんどの場合、上記の写真のように水中の砂地の上にリールを置いて釣った魚との記念撮影をしたときに発生します。
魚をリリースして、さあ次へ、というときに、
「あれ、リールが引っ掛かって回らない」ってなってしまうわけです。
そのときムリヤリにリールを回してしまうとスプールに傷が付いたり、酷い場合はベアリングを痛めることになってしまいます。

そのときは慌てずに、スプールセンターのネジを緩めてから水中でクルクルと回してやってください。引っ掛かっていた砂粒などが水で洗われてリールの回転は復活するはずです。

オリジナル "LOOP REEL" で注意すべきもうひとつのポイントは、釣りが終わったらすぐにスプールセンターのネジを緩めてベアリングとスプールを圧着から解放してやることです。
これを忘れてセンターのネジを釣りをしているときのテンションを掛けたままで緩めずにしていると、表裏で6個あるボールベアリングの周囲に巻かれている樹脂に凹みが出来てスプールの回転がカクカクしたスムーズではないリールになってしまいます。
中古のLOOPで回転がカクカクしたものが多いのは、ほぼ全てこれが原因です。

またシンプルな構造ゆえに手入れをせずに放置されていた個体では、ベアリングに異物が混入していたり、オイルの欠乏や劣化で回転が硬くなっているものがあります。
その場合は現代の良質なメンテナンススプレーやオイルを使ってある程度は回復させることが可能です。

その辺りの注意さえ怠らなければ、このオリジナル "LOOP" はシンプルかつ使いやすく、また落とした程度では壊れないので釣りの現場で使用不能になることも少ない信頼性の高いリールだと思います。