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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。
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2015/01/30

"Alchemy Dharma 754 Parabolic" 開発の経緯(その2)





グラスロッドを作る。


といっても、オリジナルのアクションをもつグラスロッドのブランクを自分で作るには、ちょっとした規模の工場が必要だし、それなりの機械器具をそろえて、メーカーから買ったグラス素材をある程度まとめて在庫しなくてはなりません。
そのためには、少なくとも、年間最低数百本レベルの販売ルートがないと事業としては成立しないと思います。

そこで、製作しようと考えているグラスロッドのブランクを、グラスロッドのブランクを製作しているメーカーに発注して、自らが求めるアクションと仕様でブランクを製作して頂くことになります。

そのためには、まずメーカーのブランク設計担当者と打ち合わせをしながら、ブランクの設計仕様を決めなければなりません。
とはいえ、こちらはシロウトです。どんな形状のマンドレル(心棒)に、どのような形にカットしたグラス素材(これも何種類もあります)を巻き付けると、こういうアクションになる、なんてことはまったくわかりません。

「何番のフライラインを使う、長さがいくらで、アクションはこんな感じのロッドを作りたいのです」

と、希望するブランクに求める性能や特徴を、設計担当の方に伝えるわけです。
というと、なんだか簡単なように感じるかもしれませんが、
ひとりひとり感覚や表現方法が違うので、自分がイメージしているフライロッドと設計の方がイメージするロッドに整合性があるかどうかはわからないのです。
というよりも、同じひとつの言葉から、まったく違うものを想像しているかもしれません。

で、どうするのか、ですよね。

実は、すでに存在するサンプル、つまり、いま既にあるフライロッド、をベースにして新しいフライロッドを作り上げていくのです。
そのベースにする竿は、1本のこともありますし、何本かの竿を参考にしてそれらのいいとこ取り、という場合もあります。
とにかく、ある竿を手元に置いて、そこからどのように変化させるか(もしくは、その竿のコピーを作ることもあるとは思います)を打ち合わせていくわけです。

今回のロッドを製作するためには、まず2本のフライロッドをベースにしました。
Mario Wojnicki の "217P4 7.2 ft - 4 line - 3 pc"
と、"227P4 7.5 ft - 4 line - 3 pc"
の2本です。
その他にも、数本の、やはり Mario Wojnicki のグラスロッドを参考にしています。

それらの竿のそのまんまコピーも作ることは可能だとは思いますが、それならばオリジナルを買えば済むことなので、そのようなことは、いたしません(笑)

また、実際問題として、オリジナルのデッドコピーを製作することは、制作時の詳細なデータがない以上、オリジナルと同じブランクメーカーでないと不可能なのかもしれません。

もっと言うならば、サンプルはバンブーロッドでもグラファイトロッドでも、なんでもいいわけです。あくまでも、新しく製作するロッドを考える上でのベースになるだけですからね。

たとえば、Leonardの38Hを持ってきて、これと同じアクションのグラスロッドを作って欲しい、ということも可能だということです。
素材特性が違うので、まったく同じ物が出来るわけではありませんが、ほぼ同じようなアクションのフライロッドが出来るはずです。
その違いをどう判断するか、は、かなり個人的なものだと思います。

実際の手順に戻りますが、
先ず設計の方に上記の2本のグラスロッドを預けて、その2本をベースにして、素材としてユニディレクショナルグラスを使用して、3ピースから4ピースに設計変更したブランクを2本作っていただきました。

メーカー社内でのブランクの設計、製作過程は、私には計り知れないので想像ですが、おそらくロッドに様々な負荷を掛けて計測したベンディングカーブをベースに、ブランクを設計してると思います。
動的な負荷については、どうなのでしょうか。もしかすると、シミュレーターでなにかしているかもしれませんが、よくわからないですね。

ブランクの径を計測すると、マリオのブランクはバットが逆テーパーになったりしていたのですが、ブランクメーカーから送られてきたブランクはふつうの先細りのテーパーでした。

ロッドのアックションを決めるのはブランクのテーパー(≒マンドレルの形状)だけではなく、ブランクに巻く素材のカッティングでも変えられますので、ブランクの外観(形状)はアクションを決めるための大きな要素ではありません。

ブランクを振ってみても、それがどんなフライロッドになってるのかはまったくわかりません。
それらのブランクをロッドに組上げで、そのロッドで実際にフライを結んだラインをキャストして、はじめて自分が意図したロッドになっているかどうかを試してみることができるのです。

その初号試作の2本ですが、これが、予想以上にすばらしい出来だったのです。

このロッドは、昨年2月の「つるや釣具店」さんのイベントに持って行ったので、実際にラインを通して振って頂けた方もいらっしゃるかと思います。





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2014/12/27

"Alchemy Dharma 754 Parabolic" 開発の経緯(その1)

ロッドのパーツに使う、ハードラバー
アルケミータックルといえばハードラバー・リールですから、ね。


"Alchemy Dharma 754 Parabolic" UD Glass Rod 

Specifications
Material : Unidirecthional E-glass
Recommended line weight : DT-4 (WF-5 is good too ) 
Total length : 7' 5"
Pieces : 4
Blank Weight : 57g
Action : Parabolic / Medium~Slow


開発の経緯


私はこの20年ほどの間、ほぼすべての釣りをバンブーロッドと竹竿(トンキンケーン以外の竹篠類を素材として作られたフライロッド)で通してきました。
(ただし、海で使うフライロッドと、ヘビーなツーハンドロッド以外ですよ。)

グラスロッドもフライフィッシングを始めてからの長い年月の間にラスピークを始め過去の名品といわれるWinstonやScottのグラスロッドをその折々に買ったこともあり、たまには釣りに使っていたのですが、クラシックロッドから現代の個人メーカーまでの様々な種類やアクションの竹竿を使うなかで、あえてグラスロッドを釣り場に持ち出そうと思うことはほとんどありませんでした。

ところが、10年ほど前、Mario Wojnicki とバンブーロッドのことでやり取りしていたときに、
彼が、
「新しいグラスロッドが出来たんだ、これは凄くいいよ」
という話になり、
つい、いきがかりで、
"217P4 7.2 ft - 4 line - 3 pc. 
Exceptional rod with a unique taper for fiberglass. Medium fast, true parabolic action."

という竿を買ってしまったのですが、この竿がもの凄く良かった。




個人的には、あのラスピークのグラスロッドよりも、釣りに使っていて気持ちよかったのですね。
キャスティング時にラインの動きが手に取るようにわかり、スムーズなラインが真っ直ぐに伸びていく。
ランディング時にもバットのブレが一切なく、スムーズに魚を寄せてくれる。

「へ~、最近のグラスロッドってこんなに良いんだ」

と、『目から鱗』状態で、その頃売り出されたりしていた、S社やW社製の1970~80年代の頃と同じようなコスメで仕上げられたリプロダクションロッドを買ってみたのですが・・・、

残念なことに、これらのロッドは、20年前のオリジナルとは機能面で似ても似つかない、とても竹竿と持ち替えようとは思えないようなイマイチなアクションのロッドばかりで、即ヤフオク行き。

国産のグラスフライロッドも、たまたまなのかどうなのかはわかりませんが、購入した竿は、なんだか柔らかさを強調したようなダラダラした竿にしか当たりませんでした。

結局、このMarioの竿は、なにかのフロックで偶然できたものなのだろう、
ということで、私はこれまで通りの竹竿マニアに戻ってしまったのです。

それから、また時が過ぎて、2013年の秋、NYの "Catskill Fly Fishing Center and Museum" で行われたミーティングに参加したときに、同じ日本から参加した友人が、白いグラスで出来たフライロッドロッドを持っていました。
そのロッドをモーテルの庭で振ったとき、フライロッドを振っていているなかで、このところしばらく感じることのなかった、「なんだこりゃ・・・」状態になってしまったのです。

その白いグラスロッドは、ファーストテーパーにもかかわらず、やたらとスムースで、なんのテクニックも使わずに、自然に、スラックの入らない方向性のいいラインを、『ラインの先端まで神経が通って繋がっている感覚』を保ちながら、スーッと前後に伸ばしていったのです。

それは、ほんとうに、これまで化学素材で出来たロッドでは感じたことがないほどのナチュラルな感覚でした。

「え~、この竿って、いったいなんなんだ」

と、驚くと共に、強烈な疑問を感じたのです。

だって、この竿を開発したのは、基本的にはフライとはまったく関係がないはずの、トップウォータープラグ専用のバスロッドを作っている方だったのですから。

フライばっかりやってるメーカーでもなかなか出来ないものを、バスの人が作っていた。
これは、いまでこそ正直に言えますが、本当にものすごいショックでした。

そのとき同時に、そのM氏がフライロッドビルダーの設計で作った、という竿のプロトタイプも振らせていただいたのですが、こっちは、私的には、キャスティングにちょっとしたウイークポイントを感じる竿でした。
(のちほど、その方はキャスティングよりもフライの操作性に重きを置いて、その竿をデザインしたと聞いて、いちおう納得はしたのですが・・・)

で、そのM氏が作ったヘビーな4ピースのバスバギングロッドが、また凄かった。

こりゃ、もう、この方と一緒にフライロッドを創るしかない!

と、日本から遠く離れた、ニューヨーク、キャッツキルの地で思ったのです。


2014/12/24

"Alchemy Dharma 754 Parabolic" UD Glass Rod ペイン風味


"Alchemy Dharma 754 Parabolic" UD Glass Rod 『ペイン風味 by NCA』


発売したばかりのグラスロッドブランクを買って頂いたお客様から、さっそくインプレッションが届きました。

嬉しいので、転載させて頂きます。

「こんばんは。
早速、実釣してきました。
久しぶりの穏やかな一日。
残念ながら釣果はありませんでしたが、ドライフライ、ウェット、ニンフと一通りやってみました。

葦を刈り終えたばかりの寺前の広場で4種類のラインを試し振りしてから、実釣では先ずウルフのロングベリーWF#4を選択しました。
バンブーロッドにも相性が良いラインです。やや重めのラインですのでラインスピードは抑え目が良い感じでした。特にドライでは。

長くはないロッドですがロールキャスト、ジャンプロールキャストがやり易いですね。パワーの伝達にロスがない証拠でしょう。

イベントの時に?だったトライアングルテーパーはラインスピードを上げると良い感じに投げられましたし、半番手ヘビーのGPX#4も違和感無く投げられるのが不思議でした。
少々の風なら問題なさそうです。
ホントにグラスらしからぬ頼りがいのあるロッドです。
しなやかなのにパワーがあり、力強いのに柔らかい感触。
何でも出来るサオでした(^。^)

次回はサカナを掛けないといけませんね。」


M様、ありがとうございました。









2014/12/22

クラシックなグラスロッドと、最新のグラスロッド、について


「クラシックなグラスロッド」と、「最新のグラスロッド」について、

ちょっと書いてみようと思います。



「クラシックなグラスロッド」といっても、1950年代から1970年代にかけての、いわゆるグラスロッドの黄金時代に生産されたものと、
それ以降、いわばグラファイトロッドの全盛期になってから、過去のゴールデンエイジのグラスロッドをできるだけ忠実に復刻したり、当時のアクションや外観をイメージして製作されたロッドに分けて考えないと、考察する意味がなくなってしまうと思います。

過去のゴールデンエイジに生産されたロッドは、ごく少数の例外を除き、そのほとんどが大メーカーによるプロダクション品でした。
言い換えると、「そこら辺のどこにでもあった、普通の釣竿」です。

フライフィッシング自体が釣りのジャンルの中では当時から少数派だったので、本当の意味で「どこにでもある」というには語弊がありますが、その中に、普及品から高級品までの商品ヒエラルキーがありました。

このゴールデンエイジのグラスフライロッドについては、おもに英語で書かれたものですが、文献や資料がかなりたくさん存在しているので、今回は割愛しようと思います。

ひとこと書き添えるならば、よくできた当時のグラスロッドが適当なメンテナンスさえ怠らなければ現在でも十二分に現役のフライロッドとして使えるのは、クラッシックバンブーロッドと同じです。


リプロダクションロッド


2000年を過ぎた頃から「コレってなんだかなあ」と思うしかない、「ネーミングとコスメティックばかりが過去の有名なロッドと同じ」というだけの、本質を見失ったマーケッティングから企画された中途半端なリプロダクション・グラスロッドが、国内外の、いわゆる大手メーカーから繰り返し販売され続けています。
オリジナルを知るものにとっては、使ってみると落胆するしかない、そういう「マガイモノ」についての批判を書きかけたのですが、その手の話は書いていてもつまらないので、ここではあえて取り上げないことにします。

私がいま、ここで語るべきなのは、ノスタルジックなゴールデンエイジのグラスロッドを、そのスペックと性能をできるだけ忠実に再現したものと、
グラファイトロッドの登場によって進化を止めてしまったまま忘れられたようになっていたグラスロッドに、新たなグラスロッドの可能性を追求した最先端を行くロッドについてだと思います。


本当の意味で、過去のロッドをリプロダクションするには、当時のロッドの図面的なデーターのみならず、その竿が作られていたときに使われていた治具などが必要になります。

もうひとつは、当時と同じグラスファイバーの素材がいまもなお手に入るかどうか、ということです。
そこまで揃っていて、はじめて本当のリプロダクションということが可能になるわけですね。

この中でいちばんハードルが高いのは、なんだと思われますか?

最も手に入りにくいものは、当時のデーターでも治具でもなく、グラスファイバー素材そのものなのです。何十年もの時の流れの中で、当時使われていたグラスファイバー素材は、さまざまな理由があって現在ではほとんど使われなくなってしまいました。

1950~60年代に、グラスロッドブランクの主流であったタバコグラスとも呼ばれる、フェノールレジン、つまりフェノール樹脂を使ったGFRPは公害問題が原因で生産されなくなり、いまではごく一部の工業用資材として使われているだけです。

その後、ポリエステル樹脂を使ったグラスロッドが一時生産されていたのですが、わずかな期間のうちに、物理特性の面でより優れたエポキシ樹脂を使ったロッドに置き換えられてしまいました。

60年代頃から使われ始め、その後のグラスロッドの主流となり、現在のグラファイトロッドでも使われているレジン(樹脂)がエポキシ樹脂です。
エポキシ樹脂は、その汎用性の高さから、さまざまな新しい樹脂が開発され続けている今日になっても、釣竿の素材のみならず、いたる所で使い続けられています。

幸いなことに、会社をやたらと売り買いするビジネスがなかった日本では、グラスブランクを作っていたメーカーの製作治具などがいまだに散逸せずに残ってることも多いのです。

そんなわけで、過去の日本製のエポキシを使ったグラスロッドブランクなら、本気でやる気になりさえすれば、かなり忠実にリプロダクションすることが可能なのです。

そこまでの思い入れを持った個人や、メーカーがあってのこと、なのですが。


たとえば、このロッド、まさに当時の名竿のリプロダクションです。


グラスロッドのニューエイジ


そして、グラスロッドの新しい可能性を求めて作られたロッドが、ここ数年、様々なジャンルで作られるようになってきました。

グラスロッドの個性、つまり、グラスロッドの持つ弾性と強度が、ある種の釣りが要求する釣り竿のスペックを満たす素材として最適だということがわかってきたのです。
たとえば、粘りと強度が必要な海の大物用のジギングロッドや、バス用のトップウォータープラグを演出するためのロッドですね。

その流れのなかで、かのラスピークや、スコット、ウインストンがグラス素材でのフライロッドの製作をやめた、70年代後半から80年代の初めに止まってしまっていたグラスロッドの時間が、また動き出したのです。

これらの新しいグラスロッドは、もはや前世紀のグラスロッドのコピーではありません。
同じグラスロッド、という名前は付いているものの、まったく新しいものだと考えた方がいいように感じます。

確かに使われているガラス繊維の組成や物理的特性は同じかも知れません、しかし、グラスロッドを作るためのプリプレグとして考えると、ガラス繊維の径、グラスシートの製法、そしてその繊維をまとめるための樹脂、そのすべてが過去のものからは大きく進歩しているのです。


長くて高番手のフライロッドに関しては、未だよくわからないところがあるのですが、少なくとも渓流で使用するスペックのシングルハンドロッドに関しては、最新のグラスロッドはグラファイトロッドに勝るとも劣らない性能特性を持っています。

グラスロッドが唯一グラファイトロッドに負けるところがあるとすれば、それはブランクにしたときの重さなのですが、これも、フライロッドはただ軽ければいい、というわけではない、という考え方もあるので優劣は微妙だと思います。

バンブーロッドを含めた竹製の良くできたフライロッドが、フライロッドとして抜群の性能を持っているのは、けっして軽いからというわけではありません。重さと反発力のバランスが、フライロッドとしてちょうどいい具合になっているから、だと思います。

ただ、それは、長い年月の経験の積み重ねから来たものだ、といわれると、反論するには苦しいところがありますが、そういうときは、
「フライフィッシングというシステム自体が、竹竿をベースに組み立てられたものだ」
ということで煙に巻くことにします。

その『フライフィッシングというシステム』に、最新のグラスロッドがピッタリはまるのです。
おそらく、質量と反発力のバランスが竹に似ていること、が、その理由だと思います。

余分なものを削ぎ落とした最新のグラス素材は、
『まさにフライロッドのための素材だ』
と言っても、過言ではないと思っています。


2014/12/08

グラスロッドの素材について


"Alchemy Dharma 754 Parabolic" ついに発売です!!
スペックは、7'5",  4 piece,  #4 Line, UD-Glass, Parabolic action
まずはブランクの販売を開始いたしました。
価格は、21500円+消費税です。

写真のロッドはプロトタイプですので、
ファクトリー完成品のロッドは外観が少し異なります。
価格は、標準仕様で52000円+消費税、ロッドソックが付属します。
カスタム仕様での製作も可能です。詳細は当方までお問い合わせください。

※表示している価格は2014年12月の価格です。




グラスロッドは、素材の資質がモノを言う…


 "Alchemy Dharma 754 Parabolic" Glass Rod の販売を始めたので、以前 "Facebook"に連載していた、「グラスロッド」について書いた記事をまとめてみました。


(その1)

いま入手可能なグラスロッドの素材はわずかな種類だけに限られています。

グラスロッドはGFRPシートをテーパーを持ったチューブ状に成形することでブランクを作成するのですが、そのGFRP、つまり「ガラス繊維強化プラスチック」はグラスファイバー、つまりガラスで出来た極細の繊維を樹脂でまとめることで製作されています。

現在使われているGFRPは、大きく分類すると硬さと強度が異なる2種類があり、それらにはそれぞれ、いわゆる「Eグラス」と「Sグラス(東レが作っていたものはTグラス)」と呼ばれる硬さと強さの異なる二種類のグラスファイバーが使われています。

そして、そのガラス繊維をまとめてGFRPシートにするための樹脂として、エポキシが使われています。

かなり単純でしょ。

でも、その先があるのです。








(その2)

ひと昔前は、ロッド用のグラスファイバーをバラケないようにまとめる樹脂(レジン)としてフェノールやポリエステルを使っていたものもあったのですが、現在ではほぼすべてのロッドブランクにはエポキシ樹脂が使われています。

つまり、グラスロッドは、Eグラスか、Sグラスのファイバーをエポキシ樹脂でまとめたプリプレグというシートを丸めてチューブ状のブランクにしたものからできています。

素材として柔らかいのがEグラス、硬いのがSグラスですね。
強度は、実用レベルではほぼ変わりません。

同じ長さ、同じ硬さのフライロッドをこれら二つの素材で作れば、そのフライロッドはそれぞれどのようになるのでしょうか?

単純に考えると、Sグラスで作ったロッドと同じ硬さにするためには、Eグラスの方はグラス素材をたくさん使う必要があるわけです。
逆に考えると、Eグラスで作られた竿と同じ硬さの竿をSグラスで作ると、グラス素材は少なくてすむ、つまり軽くなるのです。

付け加えるならば、昔はEグラスしかなかったので、古いグラスロッドはすべてEグラスで作られていました。

そこにもっと硬い素材としてCFRP(炭素繊維強化プラスチック、いわゆるグラファイト)が開発されました。

硬い素材を使えば使うほど、同じ長さ、硬さのロッドは軽くなっていきます。
そして、ユーザーは「より軽い竿」を求めました。

この流れは、より硬いグラファイトをロッドの素材に使うという方向へ進んで行きます。

グラファイトの時代になって、グラスロッドは古い素材ということで進化を止め、初期はグラファイト素材の単価が高いこともあって、グラスロッドはいわゆる安物の竿、グラファイトロッドを買えない人のための二級品の地位に甘んじることになりました。

その中でも、できるだけ軽いものを、という要求からEグラスは歴史のなかに過去のものとして埋もれていき、新しく作られた、グラスとしては硬いSグラス(東レが開発した新素材にはTグラスという商標が付いていますが、Sグラスとほぼ同じものです)を使ったロッドが生き残ることになったのです。


ところが、この辺りから話がややこしくなっていきます。

1980年代に始まった個人メーカーによるバンブーロッド(竹竿)のルネサンス(復興)のなかで、バンブーロッドに時代遅れの工芸品としての価値ではなく、釣竿としての機能性を求めた一部の優れたメーカーが現れました。
彼らニューエイジともいえるロッドメーカーとそれらの竿のユーザーによって、

『フライロッドという竿は、軽くて反発力が強ければそれでいいのか・・・?』

という疑問が頭をもたげてきたのです。

この流れのなかから「グラスロッドの再発見」とでもいうような、グラスロッドのブームが起こってくるのです。








(その3)

グラスロッドに使われているグラスファイバー(ガラス繊維)の、EグラスとSグラスの比較ですが、米国のサイトにはこのように書かれていました。

S-2 glass was the first developed for military missle(missile の間違いでしょう) applications. It is a different glass than standard E-glass and is about 30% stronger and 15% stiffer.

S-2グラスは、Eグラスと比較すると、強度が30%、硬さが15%、増しています。

ここには"S-2"グラスと書かれているのですが、SグラスとS-2グラスがどう違うのか調べてみたのですが、わかりませんでした。

ちなみに米国のグラス繊維メーカーは、現在はS-2グラスをSグラスとして使っているようです。

ちなみに、
Tom Morgan Rodsmiths fiberglass rod、は
Kerry Burkheimerの製のブランクを使っていて、
Kerry works with E-glass, the original fiberglass material I used.
つまり、Eグラスのオリジナルマテリアルを使っているそうです。

オービスのグラスロッド "Orvis The Superfine Glass fly rod"は、
With unsanded S-2 fiberglass blanks、
つまり、S-2 グラスを素材に使っています。

スコットのグラスロッド、Scott F2 のサイトにはこのように書かれています。
"S2 high performance fiberglass epoxy composite - faster recovery and greater feel."

また、S2グラスの解説として、
"Scott’s proprietary S2 glass is an innovative highly unidirectional glass and epoxy composite that helps us continue to advance fiberglass rod design.
Our glass rods are light, responsive, and exhibit the highest recovery speeds in fiberglass rods. Now you get all the feel of glass with high performance."
と書かれています。

このことからわかるのは、スコットのF2グラスロッドは、S-2 グラスのファイバーを”unidirectional”つまり、繊維の方向を(縦だけの)一方向に並べた素材からできている、ということです。

同じSグラスを素材にしているのですが、オービスとスコットのグラスマテリアルには違いがあるようです。

それはロッドブランクを構成するグラスファイバーが並べられている方向です。

グラスでもグラファイトでも同じなのですが、すこし前までは繊維が縦横方向に編まれた、いわゆる平織りの布のようなシートをクルクルと丸めてロッドブランクを作っていました。
ロッドの縦方向と、横方向のどちらの向きにも繊維が並んでいたわけです。

その中で、縦方向の繊維がロッドのアクションを、横方向の繊維はロッドの強度を受け持っていた、と考えるとわかりやすいと思います。

釣竿の製造方法が進歩していくなかで、横方向の繊維は、ロッドのアクションには関係のない部分だということがわかってきました。

関係がないというよりは、いらない部分、つまり、釣竿として構成することが可能ならば横方向の繊維は無くてもいい、竿に重さを付け加えるだけのよけいな物だという考え方が主流になってきたのです。

でも、横方向の繊維を無くしてしまえばどうなるのか?

単純に考えると、その竿は樽のタガを外したような物になってしまい、曲げ伸ばしを繰り返すと縦方向だけの繊維がバラバラになってしまう、という釣竿としてはとても使い物にならない竿状の物体(笑)になってしまいます。

それを解消したのが、繊維(ファイバー)をまとめる樹脂(レジン)の進歩でした。
横方向のタガがない縦方向の繊維だけでも使用中にバラバラになることなく、釣竿として使えるブランクが製造できるようになったのです。







(その4)

前項(その3)の最後にちょっとだけ解説した、”unidirectional” についてのお話しです。

米国の一流メーカーの最先端グラファイトロッドのレシピを見てもらうとわかるのですが、強大なパワーを持った魚を狙うのでさえなければ、いまどき各メーカーのハイエンドロッドは、ほぼすべてが ”unidirectional” 構造になっているといっても間違いはありません。

もっと言うならば、竹竿はすべて、自然に作られた ”unidirectional” 構造ですよね。
横方向の繊維なんて入っていませんから。

前にも書きましたが、釣竿が曲がって復元するのに必要なのは、縦方向のファイバーだけなのです。

釣竿のブランクの中で、横や斜めに走る繊維は、縦の繊維がバラバラになってしまわないように、ただまとめるためにだけ機能しているといっても過言ではありません。
だから、縦方向にだけ繊維が走っている ”unidirectional” 構造は、いちばんムダのないブランク構造だということになります。


本題のグラスロッドの話に戻ります。

グラスロッドについての話をするときに、よく、Sグラスがどうとか、Eグラスがなんとか・・・、
って話をしたり、聞いたりしますよね。

でも、その先のグラスファイバーの方向性についての話って、聞いたことがありますか?
おそらく、そんな話は聞いたことがないんじゃありませんか?

でもね、グラスロッドの内部でも、このグラスファイバーの並んでいる方向は、釣竿としての性能に大きく影響を与えるのです。

釣竿に、機能的にはいらない余計なモノが付属しているとすれば、
それは竿の質量が増える→慣性が大きくなる→動きが鈍くなる(動き出しが鈍くなり、動き出すと止まらなくなる)
というわけですね。




(その5)

グラスロッドを作ろうとする場合、
まず、素材を選択する必要があります。

①使用するグラス繊維素材がEグラスか、Sグラスか。

②ブランクを巻くためのグラスファイバーシートが、縦横にグラス繊維が織り込まれたクロス構造の素材か、縦方向にのみグラス繊維が並んだユニディレクショナル素材か。

これだけで、4つの選択肢があることになりますね。

ちなみに、アルケミータックル・グラスロッドのブランクは、
Eグラスの繊維をユニディレクショナルに並べたシートから作られています。
つまり、UD(unidirectional)Eグラスです。


その先に、フライロッドとして求めるアクションを具体化するための、ブランクデザインがあります。

そして、そのデザインは、ブランクのテーパーと厚さの組み合わせから計算され、設計されます。

ところで、同じ素材を使って、同じデザインのブランクを作れば、製品としておなじモノが出来るのでしょうか?

このあたりからが、プロダクトの品質の問題になってきます。
同じ名前のグラス素材、たとえば、Eグラスを使用したユニディレクショナルグラスといっても、それぞれの素材メーカーによって、使われている繊維や樹脂には違いがあります。

同じエポキシ樹脂といっても、さまざまな種類があり、Eグラスのファイバーもにしてもすべてが同じではありません。

もうひとつの大きな違いは、そのシート素材の厚みです。

たとえば、同じ数㎜の厚さの製品を積層して作るとしても、素材のシートを数枚重ねるだけでその厚みが出来る厚いシートと、数十枚重ねなければ必要な厚さにならない薄いシートがあります。
薄いシートを数多く重ねる方が製品としての精度が上がることは、すこし考えるとわかっていただけると思います。
そのかわり、使うシートの数は多くなり積層する手間も余計に掛かるので、当然コストは上がります。

また、そのシートをカッティングする精度にも、メーカーによって違いがあります。
どんな機械を使って誰がカッティングするのか、によって、外観は同じでも、まったく違う製品が出来上がってしまいます。


このように、一見おなじようにみえるグラスロッドにも、製品にかなりの価格差がある理由のひとつには、原材料と製作にコストの違いによるブランク価格の差があります。

なかには、販売戦略上などの原材料のコスト以外の理由で、ただ高いだけ、という製品も市場には見られますので、必ずしも原価が製品価格に反映してる、とまでは言えないのですが・・・。


つまり、商品説明では、同じ「Eグラスを使ったグラスロッド」になってしまうのですが、その言葉だけではわからない大きな違いが、そこにはあるのです。


ちなみに、今回発売する"Alchemy Dharma 754 Parabolic" Glass Rod に使用しているグラスブランクは、手に入る限り最上の素材を使って、国内の高度な技術を持ったメーカーの手で製作されています。

このロッドブランクは、素材から製作まで、本物の、Made in Japan です。




(その6)
今回は、グラスロッドの素材ではなく仕上げについて少し・・・

現在作られている、カスタムメイド的なグラスロッドは『アンサンドフィニッシュ』が多いように感じるのですが、そこにはなにか意味があるのでしょうか・・・(笑)

グラス素材のフライロッドについて、よく『アンサンドフィニッシュ』や『アンフィニッシュ』などという言葉を耳にされるのではないでしょうか?

アンサンドフィニッシュとは、サンディングしていない、つまりブランクの表面研磨をしていないという意味です。

アンフィニッシュは、仕上げをしていない、つまりブランクの表面コーティングをしていない、極端に言えば未完成品という意味になります。
ブランクの表面を研磨しているか、研磨していないのか、ということとは関係ありません。
ブランクの表面を研磨している、していないに係わらず、表面になんのコーティングもしていないブランク、ということですね。

このブランクのコーティング=塗装ですが、なんのためにするのか、というと、美観のためでもありますが、本来はブランクの表面を衝撃や紫外線劣化から保護するという機能性を持っています。
また、その後の作業工程でのトラブルを防ぐという目的も持っています。
表面をコーティングしていない無垢のブランクに、ガイドなどのハードウエアを取り付けたり、ロゴの部分にコーティングしたりすると、コーティング後の乾燥中にブランクの中から微細な気泡が発生して外観を損ねてしまう場合があるからです。

『アンサンドフィニッシュ』と『アンフィニッシュ』、なんとなく同じような意味に受け取りがちなのですが、この二つの言葉には大きな違いがあるのです。







この写真をよく見てもらえればわかると思うのですが、ブランクのバットエンド(いちばん太いブランクの下側10㎝ほど)と♂フェルールの表面に艶はありません。この部分がグラスファイバーブランクの素材が無垢で現れている部分です。

※ちなみに、この写真のブランクは表面を研磨して凸凹を無くした仕上げですので、『アンサンドフィニッシュ』ではありません。

冒頭の、現在作られている、カスタムメイド的なグラスロッドは『アンサンドフィニッシュ』の場合が多いのですが、そこにはなにか意味があるのでしょうか・・・(笑)

についての回答ですが、どうなのでしょうね・・・?

見た目が「なんとなくグラスロッドらしい」ということじゃないのかな。
なんて書いてしまうと、お終いですよね(笑)

ほんとうは、ちゃんとした機能的な意味があります。
特に低番手のグラスロッドの場合は、まったく同じブランクを『アンサンドフィニッシュ』で仕上げた場合と、ブランク表面の凸凹を研磨してツルツルにした場合とを比較すると、ブランクの強さがライン番手にして、約#0.5~1ほども変化するのです。

この違いを、『たったそれだけの違いなのか』と考えるか、
『そんなにも変わるのか』、と考えるか。

どっちが良いか悪いかではなく、その違いをどのように考えてブランクの製作に利用するのか、
が、ブランク設計者の考え方の違いといえると思います。



2014/02/10

数年ぶりに浅草へ行く

浅草に行けばまずここ、
浅草寺門前「仲見世」です。
なんてったって、お上りさんですから。

数年ぶりに、つるや釣り具店さんの『ハンドクラフト展』に行ってきました。

好景気を演出するアベノミクスのおかげなのか、

「例年より、出展者さんも来場者も多かったよ」
と、毎年出展している友人が言っていました。

『アルケミータックル』も、友人のブースの片隅を借りて、小さく「展示」させていただきました。
だって、売り物が・・・。


開発中のグラスロッドと・・・


竹内重利さんのエングレーブが施された
"The Alchemy Japanese Trout Reel"

今回の上京の目的は、

竹内さんにエングレーブをしていただいたリールを見せびらかすこと、と、

いま開発しているグラスロッドのプロトタイプを、つるやさんのショウに集う、ひと癖もふた癖もあるロッドメーカーさんや、ロッドマニアの方に、実際にこの竿を振ってみていただいて、どのような評価を得られるか、を自分の耳で聞いてみたかったから、です。

このグラスロッド、かなりのパラボリックアクションなので、どう評価されるか、にはかなりの疑問をもっていました。
でも、実際に振って頂いた、作る方にも使う方にも百戦錬磨のベテランの皆様から、たいへんな高評価を頂き、私の開発方向が間違っていなかったということで、ひとまず安心いたしました。

あとは、最後の詰めを残すだけです。



リールメーカーとして、個人的に興味があったのは、この"NAKA FLY REEL MAKER"さんです。


NAKA FLY REELS

これらのリールは、すべて、細かなパーツのひとつひとつまでも、市販品は使わずに、おひとりで製作されています。

ほんとうの意味でのハンドメイドですね。

写真ではわからないかもしれませんが、このリング部分のニッケルシルバーの細工、そしてハードラバーの仕上げのすばらしさ。
それに内部構造の面白さ。

リールを作ったもの、作ろうと試みたもの、だけにしかわからない、完成までに途方もない手間と、長い時間が掛かったリールです。

リールメーカーの私が、いま、いちばん欲しいリールですね。

正直にいって、他に出展されていたリールとは目指している次元が違います。
ほんとうに、すばらしい!

もうちょっと、ここがこうなっていれば・・・、
っていうポイントも、いくつかあるんですが、そんなことは些細なことですよね。



NAKA FLY REEL


そして、この菊地さんの竹竿です。










普通のニッケルシルバーのフェルールに見えるでしょ、

でも、これはグラファイトフェルールなんですよね。

もう、マリオのグラスフェルールなんて・・・






あと個人的にいちばん興味があったのは、これ。

いにしえの博物学図鑑。

モノクロ版画に手彩色っていうのが凄いです。








シェフさんと、ハッピーフェイストラウトの井澤さん
なにを話しているんでしょうか・・・

2014/01/24

グラスロッドを作ってみる その4

最初の試作ブランクをロッドに組み立ててみた。

リールシートまわりのデザインで悩みつつ、
実際に釣りをして、アクションのことでも悩む。


プロトタイプのグリップとリールシート


フライロッドのアクションも、グリップトリールシートのデザインにも、100%の人がこれと認めるような正解はない、と思います。

最低限、実際の釣りに使えさえすれば、そのような細部はどうでもいいことなのかもしれません。
でも、その細部にこだわってしまうのが、フライフィッシングという釣りのための道具を作ろうと思い立ったものの宿命かもしれません。
既存のものに満足できるのならば、あえて新しいモノを作ろうとはしないはずですから。


そんなわけで、暇さえあれば、この竿のどこを弄れば、より自分の中にあるベストなフライロッドのイメージに近いものになるのかを、いろいろと試行錯誤しながら思い悩んでいるわけです。

たとえば、粘土でグリップエンドを作ってみたりして。


紙粘土でグリップエンドを作ってみた。

ひとつ考えられるベストバランスは、エンドをコルクで整形してしまうこと。
リールシートの金具とのバランスを黄金比で取ると、落ち着く。
(この写真は、あえて黄金比からずらしています)

でも、それだと、サイズや形態が、愛用するビヤーネ・フリースの竿のグリップまわりに限りなく似てしまう。
さすがに、それは避けたい。


ひとつ説明するとすれば、この理想とは私にとっての理想であって、決して普遍的なモノゴトを考えた上での最善のもの、というわけではありません。
また、それが万人受けするものかどうかも、私にはわからないことです。
ただ、自分が欲しいモノが無いから、自分の欲しいモノを作る。

市販を前提にモノを作るとき、制作者自身がイイモノだと思えなければ、自信を持ってお勧めできなません。
それを好きか嫌いか、は、皆様がそれぞれお一人ずつの価値観の中で判断してくださると思っています。

料理やファッションと一緒ですね。




金具を後ろに集めてみた。
これもけっこう・・・



ブランクについてですが、

現状でも、

「え、これがグラスロッドなの!!」

という程度には、凄い素質を秘めたブランクなんです。

もうちょっと、ここがこうなれば、フライロッドとしてもっと凄い竿になるのにな、というポイントとアイディアは何点か見つかっています。

ただ、それをフライロッドという製品にしたらどうなるのか、
それは、実際に、新しく設計し直したブランクを作ってみて、それを実際に使ってみないとわからない。

それに、そのアイディアがグラスロッドという製品として、はたして実現可能なのかどうなのかもわからない。


フライロッドの理想って、竿の質量が0で、求める部分に求められるだけのスピードと強さを持った反発力を持ったバネなんです。
その、ありえないモノから、現実の科学や物理学、そして工学の中で実現することが可能なものとして製品に落とし込んでいく。
ある程度の耐久性や、ラフに使われることも考えに入れて。
そして、理想を追求したあまりに、あまりにもとんがった性格で使う人を選ぶというのも、ちょっと考えものです。

フライロッドのレーシングカーを作っているわけではありませんから。
かといって、普通のクルマでもない。
強いていえば、目指すところは『スポーツカー』です。


グラスロッド(グラファイトロッドもですけど)は、自分でブランクを作ることが出来ないので、
そのぶん余計にモノ作りとしての好奇心がそそられて、面白いんですよ。


昨日、このプロトタイプのロッドを使って市川で実際に釣りをしてみました。

ちょっと懸念していた、取り込み時のリフティングパワーは十二分でした。
スパインの歪みによるブレもまったく感じません。
このUDというグラス素材と、メーカーのブランクの設計者は、ほんとうに、すばらしいですよ。








2014/01/22

グラスロッドを作ってみる その3

グラスロッドを作るときのモデルにした竿、その2

MARIO WOJNICKI  227P4
7'5" #4 LINE

この竿もやはり MARIO WOJNICKI のグラスロッドです。
個人的にですが、ウジニッキの最近の竿は、竹よりもグラスの方が好きですね。
まあ、このグラスロッド、お値段もバンブーロッドなみではありますが。

ちょっとよけいな話になりますが、ウジニッキのバンブーロッドでは、SCOTTブランドで始めて出した頃のインターミディエットラップが施されていたセルベックス(だったと思います)の8フィートがいちばん好きでした。





この 227P4 ですが、前掲の 217P4 を少しパワーアップした竿だとウジニッキのウェブサイトには書かれています。

ちなみに、ウェブサイトには次のように説明されています。

217P4
7.2 ft - 4 line - 3 pc. Exceptional rod with a unique taper for fiberglass.
Medium fast, true parabolic action. $1250.00

227P4
Longer and more powerful version of 217P4.
7.5 ft - medium fast - semi parabolic.   $1250.00


しかし、ラインを通して振ってみると、227P4 は、217P4 とはかなり異なったフィーリングをもった竿だということがわかりました。

ウェブサイトにはセミパラボリックと書かれていますが、
実際に振ってみると、セミパラというよりはプログレッシブアクションといっていいと思います。

ティップトップは軽くシャープで、負荷を加えていくと、ブランクの曲がりの頂点が漸進的にバット側に寄ってくることからも、プログレッシブアクションの特徴を持っています。

おそらく、ですが、217P4 はグリップ直上のバットがしなやかなので、状況によっては大型の鱒の取り込み時に不利になる場合があることから、バットを強化したものだと思います。

ホールを入れずに単純に振った場合の固有のラインスピードも、217P4 よりも早く感じますが、同じ4番ラインを使う限り、有効射程距離はほとんど変わりません。
渓流の釣り上がりなどのテンポの速い釣りにも向いています。

ただ、どういうアクションを、パラボリック、セミパラボリック、プログレッシブと分類するかについては、いまだに定見がなく、メーカーによってそれぞれ違う基準で呼び分けているようなので、実際に手にして振ってみるまではわからない、という問題がありますね。


おまけに、この竿の長さは、マリオの基準で227㎝、7.5フィートとウェブサイトに書かれていますが、実際の全長を計測すると、225.4㎝≒7'45" で、表記よりも約0.5inch短かかったのです。

7フィート5インチ =2.2606メートル
ちなみに、7.5フィート=7フィート6インチ=2.28600メートル

どうやら、カタログの書き方はアバウトというか、数値は正確ではないようです。







2014/01/21

グラスロッドを作ってみる その2

グラスロッドを作るときのモデルにした竿、その1

MARIO WOJNICKI 217P4
オーナーネーム入り

1970年代の終わり頃に作られた、WINSTON のいわゆるストーカーシリーズのグラスロッドや、SCOTT POWER PLY のグラスロッドは当時から持っていて、それなりに気に入ってはいたのだけれど、グラファイトロッドや良くできた竹竿を使うようになってからはほとんど使うこともなく、そのうちに1本2本と手元から離れていくことになってしまいました。

あるとき、MARIO WOJNICKI とメールで遣り取りをしているなかで、すごくいいパラボリックのグラスロッドを作ったんだ、と聞いてオーダーしたのがこの竿でした。



MARIO WOJNICKI 217P4
7'2" #4 LINE

この竿は、Mario がありもののブランクを改造したオリジナルロッドではなく、まったくオリジナルのブランクから作った竿だそうで、グラスやグラファイトロッドでは他に類のない逆テーパー構造のバットを持っています。
そのためもあってか、これまでに使ったどのグラスロッドともあきらかに違う感触を持っていました。

グラスロッドに詳しい方の分析によると、この竿の素材はEグラスで、ブランクはラミグラス製であろうということです。

この217P4は、グラスロッドによくある鈍くモッタリした感触や、キャスティングするときにロッドのダルさを感じることがなく、キャスティング中の振幅にブレを感じることもありませんでした。
また大きな魚をランディングするときに胴ブレがすることもありません。
ブレがないということは、製造過程でスパインのコントロールが巧くなされているということです。
例えるとすれば、良くできた竹竿のように抜けがよく、スラックの入らないラインをスムーズに伸ばし、フッキングした魚をスムーズにランディングすることのできる竿でした。


全体的なアクションはマリオの説明どおり、確かにパラボリックで、それにもかかわらず持ち重りも感じません。その頃持っていた往年の Russ Peak のグラスロッドよりも優れていると感じた唯一の竿でした。
これは、Russ Peak のグラスロッドが劣っているということではなく、同じグラスロッドとはいえ、現行の GFRP がより高密度で高強度な樹脂から構成されているゆえに、同じ強度や反発特性を得るために使用する材料の総重量が軽くなっているからだ、と考えています。
簡単に言えば、同じアクションの竿(まったく同じではありませんが)を作ると、より軽くできるということですね。

フライロッドの場合、必ずしも軽ければいいというわけではないようですが、竿を軽くすることのいちばんのメリットは、モーメントが小さくなるので、ロッドティップを加速しやすく、静止させやすいことです。それゆえに設計の自由度が上がることは間違いないと思います。


この竿を手にしてから、再びグラスロッドに興味を感じて、Mario の他のモデルを始め、SCOTTの新しいグラスロッドなど数本を買ってはみたものの、どの竿も一長一短でどこかに不満を感じてしまい、トータルとしての性能では、この217P4以上のグラスロッドは見つからないままになっていました。


竹竿のなかには、同じメーカーの手による竿でも、まれに『これは他のものとは違って断然凄い』と感じるお宝ロッドが存在するのですが、この217P4はあきらかにその類の竿でした。
グラスロッドの場合、ブランクが同じモデルにおける個体差は非常に小さいはずなので、217P4という竿がお宝ロッドだという可能性が強いと思います。

ちなみに、僕がグラスロッドを作るときの参考にした、他の個体の217P4も、やはり凄くいいアクションの竿でした。



2014/01/20

グラスロッドを作ってみる


Alchemy Glass Rod Prototype "75PA"
7' 5" 4P Parabolic 4~5 LINE

フライフィッシング始めてすぐに、自分だけの道具を作ってみたいと考え始めていました。

当時オリムピックが作っていたハーディ・フェザーウエイトをコピーしたリールの塗装を剥いで塗り替えてみたり、市販のブランクとパーツを買ってフライロッドを組み上げたりして、それなりに満足していました。
しかし、それなりの数の竿を作っているうちに、ブランクからのロッドビルディングでは外観が変わるだけで本質的にはとても自分で作ったとはいえないことに気づきました。
そして、より個性的な海外のバンブーロッドメーカーが作った竹竿を使っているうちに、いつのまにかロッドビルディングからは遠ざかっていたのです。

10年ほど前に、使いたいリールが市場には無いからと、アルケミータックルという小さなフライリールメーカーを始めました。
そして、去年、数年ぶりに再起動したフライフィッシングを通じてあらたな人脈が繋がり始め、そのなかで、ブランクの設計からフライロッドを製作する機会を得ることができました。

オリジナルの竿を作りたいのなら、竹を削って竿を作る、という選択肢もあったのですが、百花繚乱の呈をみせるバンブーロッドメーカーに参入するのは僕の仕事ではないだろうと思っています。
また、それ以前の問題として、メーカーとしてある程度の数の同じものを生産するには、グラスもしくはグラファイトを素材として竿を作ることが現実的な選択でした。




ブランクから設計して、なんてえらそうなことを書いてても、しょせんは「しろうと」です。
ブランクの芯になるマンドレルの設計、シートのカッティングから始まるブランクの設計なんて技術的に高度なことが出来るはずはありません。

だったらどのようにしてブランクを作ったのか、ですよね。

作りたい竿の「見本になる竿」をブランクを作ってくださるメーカーさんに持っていって、
「この竿を基準にして、アクションはおおよそはこんな感じで、ここはこんなふうに変えて」
「素材はあれを使って、セクション構造はこう」
などという、けっこうアバウトな言葉のやりとりで、まずは最初の試作品、一本目のブランクを作るわけです。

(こんないいかげんな発注から、メーカーでどのようにしてブランクを設計するのかは、機会があるときにご紹介できたらいいな、と思っています。)


メーカーから出来上がってきたブランクを見て、曲げて、振っただけでは、それがいったいどんな竿になるのかはまったくわかりません。
とにかくフライロッドの形にして、フライラインを振ってみて、実際に魚を釣ってみて、評価して判断するしかないのです。

その試作品の竿が所期の目的を満たしているのなら、それでOK、あとは量産化すればいいだけです。

でも、この竿ってなんだか違うな、と感じたら、その違う部分をメーカーに伝えて、その違和感を解消するように設計を変更したブランクを作ってもらい、そのブランクを竿に組み上げて、またテストです。

この、試作して、テストして修正すべきポイントを見つけ出して、それを修正してテストする。
これはそう簡単なことではありません。
竹竿を作ったことのある人ならわかると思うのですが、フライロッドという竿は微妙なもので、どこかを弄るとその部分だけが変化をするというのではなく、竿の全体にわたって違うものになってしまうのです。

ヘタをすると、弄れば弄るだけ竿がおかしくなってしまう、という無限のループに嵌り込まないとも限りません。


ところで、僕が作っているこの竿ですが、試作第一号で予想もしなかったバランスの取れたすばらしい竿が出来てきました。
ただ、最初の設計意図からはちょっと外れたものなのです。

さて、どうするべきか、悩みどころです。

2014/01/01

2014年 あけましておめでとうございます


フライフィッシングを再始動した2013年。
あたらしいご縁があって、以前から企んでいたモノゴトが動き始めました。

ちょっと楽しみな新年です。


Mario Wojnicki のP(パラボリック~セミパラボリック)シリーズのグラスロッドと



2013/12/24

「バンブーロッド教書」を読んでみた




この2013年の12月に出版された『バンブーロッド教書』と、どうしても比較されるのが、
1999年に同じ「フライの雑誌社」から出版された『アメリカの竹竿職人たち』だと思います。




この2冊の本が出版される間に、14年の歳月が流れたのですが、その14年間に竹竿(竹類を素材とするフライロッド)の世界で大きく変化したことがあります。

それをひとことで表すと、「バンブーロッドの伝統」からの解放だと思います。
もう少し付け加えるならば、レナードやペインが代表する近代アメリカの伝統的なバンブーロッドという縛りから、メーカーやビルダーが自由になった、ということです。

その結果として、約100年にもわたって伝統的に使われてきたトンキンケーン以外の竹篠類をブランクの素材にもちいたり、これも伝統的に使われていた金属フェルール以外の様式のフェルールを使用したりといった、素材部分の変革とともに、フライロッドとして以前では考えられなかったタイプの新しいアクションを持った竹竿を作るメーカーが現れてきました。

その背景として、ネット社会の発展によりメーカーやビルダー間のデータや技術の共有が進んだからだ、などの理由も考えられますが、そのあたりの考察はまた後ですることにして、この本の書評、というよりはひと通り読んでみた感想ですね、に進みたいと思います。


まず最初に、定価3,800円の書籍を予約販売のみで売る、という販売方法にはちょっと引っ掛かりました。
本なのに立ち読みで中身を確認してから買うという方法が取れないというのは、それなりに高価な紙媒体の書籍としてはいかがなものかと思います。
いまどきの出版社の事情をわからないわけではないですが、リスクを購入者の方へ押しつけるという販売方法にはイマイチ納得できないですね。


内容に関してですが、クラッカーバレルの翻訳は、英語をスラスラとは読めない私にとってたいへん面白かったです。
ジュリアーニさんが書かれている部分は、バンブーロッドの取扱方法に関してなど、バンブーロッドへの偏愛からかもしれませんが、かなり「くどすぎ」て余計なお世話なように感じましたが。

バンブーロッド(竹竿)って、ごくふつうに注意して使えばめったに破損することはないので、このジュリアーニさんのように慎重に構えずに、もっと日常的に竹竿を使って欲しいなあ。
というのが、竹竿の好きな釣り人としての個人的な感想であり、この本を読んでバンブーロッドをはじめて買おうと思い立った方への私からのアドバイスになると思います。


世界のバンブーロッド最新事情と巻末のフライロッドの写真をもっと綿密にリンクさせることができれば、内容的にはもっと面白かったのじゃないかなと思いました。
おそらく、この国でバンブーロッド(竹竿)に興味を持っておられる方は、昔のファクトリーロッドではなく、今のメーカーやビルダーが作る竿の写真が見たいと思っておられるのじゃないでしょうか。

その他の部分は、島崎さんと三浦さんの文章以外は、なんだかどこかで読んだことのある文章や内容の再掲のように感じたのですが・・・。
いまの時代、いちばん大きく変わりつつある、この国の竹竿メーカーやビルダーのことをもっと取り上げて欲しかったなあと思います。


時代が変わった、こともあるのでしょうが、1999年に『アメリカの竹竿職人たち』を読んだときのように、読者である自分までもが著者の竹竿への熱情に感応して、そこに取り上げられていた竹竿を欲しくなって我慢できなくなってしまう、なんてコトは起こりませんでした。

それは、この本自身のせいではなく、情報や物が過剰になってしまったこの時代にはおこりがちなことなのかもしれませんが、なんとなく寂しいですね。


さて、この本、3,800円を支払う価値があったのか?
その判断は、この本を買われた読者の皆様におまかせいたします。



2013/12/05

フラットグリップ化は、どんどん進む

SCOTT G2 885 Flat Grip

手持ちのフライロッドのなかで唯一原形を保っていた SCOTT G2 まで、グリップを扁平に削ってしまいました。

5番ライン用のスコットはオリジナルのグリップが太くて長いので、購入してすぐに、グリップを握りやすくするために直径を細くする加工は施していたのですが、フラットグリップを知ってしまった身にはそれでよしとは出来なくなってしまったのですね。

SCOTTのグリップはアップロック部分の金具の肉厚がかなりあるので、コルクの直径を細くしたとしてもグリップの下端を握ることが多い私の好きなグリップ形状とはほど遠く、どうしてもモッサリとした感触が拭えなかったのですが、グリップをフラット形状に削ることでこのロッドの使用感はかなり改善されたと思います。

ただ、釣行の前に太いグリップを扁平に削っただけだったので、サイドのエッジが立ってしまい、朝から夕方まで長時間振り続けていると、指のエッジに当たる部分になんとなく違和感を感じるようになりました。

今回わかったのは、上下のフラット面と、サイドの曲面を繋ぐエッジの形状にも気を配らないとだめだということです。
それとともに、気づいたのは指が受け取る感覚の敏感さですね。

グリップが丸いのが当たり前、というところからいちど逸脱すると、グリップ形状の混沌たる世界にはまってしまった、というところでしょうか。



※リールの固定方法についての考察

リールシートがスクリューロックだと、ロックの方向は上下どちらでもリールが落ちることはないのですが、スライドリングでリールを固定する場合、両側リングやダウンロックだと、釣りをしている間にリールの固定が緩んで落としてしまうことがままあります。
特に、リールシートに堅いウッドを使ったリールシートの場合注意が必要です。

スライドリングでの固定で、リールがいちばん落ちにくいのは、実はアップロックなのですが、アップロックの金具がコルクグリップの中に埋め込まれるので、どうしてもグリップエンドが太くなるという弊害がおこります。

これまではグリップの真ん中を持つことの多い海用の高番手ロッド以外では、アップロックのリールシートには違和感があったのですが、フラットグリップを始めとする変形グリップを使うことによってその違和感が少しは緩和されるかも、と考えています。

2013/12/02

『フラットグリップ』その2

フラットグリップ仕様になってしまった、3本のフライロッド

フラットグリップのフライロッドを使い始めてから、ほぼ2ヶ月。
普通の真円グリップの竿と、フラットグリップに改造した竿を釣りをしながら比較していました。

最初に改造した竿は、前にも書いたように、8フィート、#2~3~4、というグラファイトロッドでした。

初期の感想は、

「フラットグリップの竿って外見には違和感があるけど、グリップしたときのホールド感もよく、キャストした感触も方向性が良くてなかなかいい感じだよね」

という程度で、
グリップを削ったのは失敗じゃなかったな、
こういうグリップもありだよね、という評価でした。

ところが使い込んでいくうちに、フラットグリップにした竿はキャスティングの方向性がいいだけでなく、なんとなく竿のポテンシャルが上がったように感じるのですね。

理由としては、グリップの中まで曲がり込むことで、竿のアクションする部分(負荷が掛かると曲がる部分)の有効長が長くなったからだと考えられるのですが、これはその竿がもともと持っているアクションの傾向にも左右されると思います。
どちらかといえば、ファーストテーパーな竿や、グリップ直上にスウェルが設定されている竿よりも、比較的スローテーパーで、グリップの中まで曲がり込むような設計の竿で、この現象はよりはっきりと現れるのじゃないでしょうか。

そんなわけで、私的フラットグリップ化の第2弾は、
ポールヤングの名竿ドリッグスのテーパーをベースにした、7フィート2インチ、#4~5、のカシヤマ・バンブーロッドにしました。



いちばん下に写っているバンブーロッドがそうです。

これが、またいいんですね。

この竿のもともとのグリップは、かなり細めのストレートシガーでした。
最大径19㎜とサイズまで指定してメーカーに削って頂いたグリップだったのですが、使っているうちに、このパワーのあるパラボリックなアクションの4~5番ロッドのグリップとして長時間使い続けるにはちょっと細すぎたかな、という感想を持っていました。

このグリップをフラットに削ったわけですが・・・、
すると、グリップが細すぎたかな、という印象はなくなり、まさにこの竿にドンピシャでフィットするグリップに変身してしまいました。
いい方に意表を突かれましたね、この変化には。

この竿のフラットグリップ化の狙いとしては、フラットグリップのグリップ感と操作性の良さを求めたものだったので、ブランクの直径ギリギリの限界までフラット化するということはせずに、グリップの上下にもそこそこの肉厚を残しています。

それでも、以前は4番ラインではラインを伸ばさないと負荷が軽すぎるかな、という印象があったのですが、フラットグリップ化したいまでは4番でもいいな、っていう程度にはアクション(竿から受けるフィーリング)も変化しているように感じます。




ブランク径とほぼ同じところまでフラットに削り込んだグリップ
先端部はコルクが欠けるといやなので、肉厚を少し残しています。

この最初にフラット化した竿は、ほぼ限界までグリップを削り込んでいるので、もしかすると、グリップの強度や耐久性に難点があるかもしれません。

ただ、ここまで削り込むと、フラット化したグリップが持つ特性が大きく表れるようです。


とまあ、こんな感じで、私の所有する竿のフラットグリップ化は進んでいるのですが、先日釣りをしているときにとんでもないことに気づいてしまいました。

その日は徐々に風が強くなり天候も悪化傾向にあったので、午後からは、それまで使っていた4番ラインに代えて、5番ラインを使おうと思い、フラットグリップ化していないノーマルな(といっても、グリップは握りやすいように細くしていますが・・・)SCOTT G2 885、を持ち出したのですが、午前中ずっとフラットグリップを握っていた手にはこの丸いグリップに、ものすごい違和感を感じてしまったのです。

このSCOTTで釣りをしている間ずっと感じていたのは、表現が難しいのですが、グリップにユルい竹輪のようなモノが付いた竿を握っている感じ、とでもいうのでしょうか。
フラットグリップに比べると、ものすごくダルい、余計なモノが手と竿の間に挟まっているという感覚ですね、それがいつまでも消えなかった。

これって、けっこうマズいんじゃないか。

とも、思ってるのですが・・・。


2013/11/28

グラスロッドを作ることにした

試作ブランク、など・・・

グラス素材のフライロッドに対する興味は、あまりにも多様な竹竿へのパッションに長い間とってかわられていたのだけれど、このところの私的なニジマス釣りブームの中で、ひさしぶりにグラファイトロッドを使い始めたことから、グラス竿への好奇心も再燃してしまったようです。

そうしているうちに、自分にとってのベストなグラスロッドが欲しくなったのです。

これまでに使ったグラス素材のフライロッドの中で、手が覚えている感触として最も気持ちがよかった竿は、一般に評価の高いウインストンのストーカーや、ラスピーク、グラステックなど有名な一連の竿ではなく、なぜかウジニッキの217P4なのです。

メーカーはパラボリックアクション"Medium fast, true parabolic action"だと説明していますが、どうなんでしょ。

そもそもパラボリックアクションの概念自体がそれぞれのビルダーによって異なっているので、僕としては、バットまで曲がり込む竿で、負荷による竿の曲がりの頂点の移動が少ない竿、というふうに考えています。
とすると、パラボリックなロッドって、和弓のような曲がり方と反発特性を持つわけです。

だとすると、この竿はなんとなくパラボリックかなあ、という程度です。
構造的な特徴としては、いくつかの著名な竹竿のように、ブランクがグリップに向かって逆テーパーになってるところですね。

そんなことよりも、
フライロッドを使ってのキャスティングにおいて本質的に重要な要素は、

①竿を振ったときに、おつりが来るような気持ちの悪い振動などの違和感を感じずに、
②ごく自然にフライラインが気持ちよくターゲットに向かって真っ直ぐに進んでいき、
③ポイントの上で適度な速度でうまくターンオーバーしてくれて、
④フライを狙ってるピンポイントにスッと置いてくれる、
⑤そして、重すぎないこと、

だと思います。

それを、217P4が100%とはいえないまでも、十分に感じさせてくれたということですね。

それを実現してくれるなら、素材やアクションなんてどうでもいいわけで・・・
あとは、好みの問題だと思います。

ただ、この竿にも個人的な不満があります。
それは、グリップの形状や大きさ、といったディティールに関することと、
いまとなっては中途半端に感じられる、3ピースというセクション構造です。

グラスロッド≒3本継ぎ

が公式のように使われていますが、
そんなものどうでもいいんじゃないの、というところからスタートしました。

でも、ワンピースや2ピースは持ち運びに難があり、だったら4ピースにしようと。

ひな形としてのベンディングカーブは、217P4がベースになっています。
ただ、メーカーさんでは静的加重でのベンディングカーブ設計しかできませんからね。
実際にフライラインを振ったときにどうなるのか、は、未だ未知数です。

2013/11/07

いま話題の、『フラットグリップ』にしてみました。

上面と下面を平らたくなるように整形した、「フラットグリップ」 Ver. 1

最近、巷でなにかと話題になっているフラットグリップ。

好奇心の赴くままに、手持ちのフライロッドのなかで、最もしなやかで、グリップの中まで曲がり込む、この竿のグリップを削ってみました。
というのも、バットが硬い竿では、フラットグリップにすることによって生じるメリットのひとつが有効に生かせないと考えたからです。


今回、題材にしたのは、


KURAMOCHI RODS “stealing model  Eighty-0 TLN”

スペックは、8f 0in #2/3/4line 2pc、というフライロッドです。

この竿は、バット側にローモデラスグラファイトを使用して、セミパラボリックアクションに設計されている、ライン負荷の範囲が広いフライロッドです。
このような複数にわたるライン番手の指定は、ウォルトン・パウエルやラス・ピークのロッドを思い出させてくれます。

ティップ側に高反発の素材を用いるという素材の組み合わせ方は、バットの方により硬い素材を使うという一般的な釣竿の定石とは異なっているのですが、フライロッドという独特な使い方をされる竿のアクション設計としてコレはアリでしょうね。
ここでその理由を説明することは割愛させていただきますが、たとえば、ラス・ピークの初期のグラファイトロッドに、ティップがグラファイト、バットがグラスというコンビネーションで作られたフライロッドがあるのですが、違和感のないスムーズなキャストがその持ち味でした。


フラットグリップに整形して試し振りをした感触は、見た目から感じる違和感よりも、なかなか良好。
サムオントップでのグリップが、よりしっくりくるように感じました。

グリップに力を入れなくても、ロッドグリップが定位置にスッと馴染むような感じ、
とでもいえば、理解していただきやすいでしょうか。
親指が定位置に来て、平たいモノを押す形になるので、フライロッドを振るときの方向性にブレが無くなるというメリットがあるようです。
これが、フラットグリップ化したフライロッドの特性として、もっとも実感しやすいメリットです。

そして、フライラインを投げるときのトルクが大きくなったように感じます。
グリップがコンベンショナルな形だった以前と比較して、まったく同じフライラインを使用しても、ロッドが発生させるトルクが若干大きくなったように感じるのですね。

あえて『感じる』と書いているのは、機器に掛けて計測したわけではないので、数値としてトルクがどう変化しているのかが正確にはわからないからです。
この、同じブランクなのにトルクが大きくなることが、フラットグリップの持つ、もうひとつのメリットです。



その竿で釣った、最大のおさかな・・・

フラットグリップは、やりとりのときにも自然にサムオントップでブレることなく竿を扱えるので、
効果的なプレッシャーを掛けることができます。


3日間にわたって、この竿でニジマス釣りをしているうちに、やはり気になるところがでてきたので、

(古いペインのグリップを小さくしたような松茸型のグリップの上下をフラットに削っただけだったので、写真に見るように先端部のサイドが左右にエラが張ったような形になっていました)

より持ちやすく違和感のないスムーズな形になるように、グリップを再度削ってみました。


現状は、こんな形のグリップになっています。


横から見たところです



斜め上方から・・・



そして上から・・・

真上から見ると、トラディショナルなシガーグリップのようなかたちになっています。


僕は、サムオントップで、インデックスフィンガーをブランクにそって前にのばすようにグリップすることが多いので、
(※親指をグリップの真上に乗せて、人差し指をスッと前に出すように添える感じです。)
このかたちが、しっくりと手に馴染むようです。

ほんとうに使いやすいかどうかは実釣してみないとわからないですが、期待は大ですね。




2013/04/05

ひさしぶりにグラファイトロッドを使ってみた

市川、神河CRエリアのニジマス
これは小さめですが、写真写りがよかったので






















川でシングルハンドのグラファイトロッドを自分のための釣りで使うのは、いったい何年ぶりのことなのだろう。

バンブーロッドの最大の弱点はロッドの長さが取れない、ということだと思っています。
これまでに使ってきた竹竿をベースにして考えると、#4ラインを使うロッドだと、汎用性を持たせると8フィートあたりが長さの限界のように感じます。
もっと言えば、一部の異能な作者が作る竹竿を除外すると、7フィート代半ばまでが竹竿のおいしいところだと思っています。

いま、ちょっとはまっているプールには、緩くて複雑なイヤラシい流れのなかにライズポイントがあり、そこを釣るためにはどうしても竿のリーチが欲しいので、やむをえず自分の中で決めていた「川では竹竿しか使わないという」趣旨を変えて持ち出した8’9"のグラファイトロッドです。

新しいグラファイトロッドが出たと聞けば、試投会や友人の竿を借りて振っていたので、最近のグラファイトロッドの性能がいいのはわかっていたのですが、釣りに使っても、やはりいい。
もの凄く使いやすいし、以前のグラファイトロッドにあった、なにか不自然な感触が無くなっている。

「竹竿なんて、単なるノスタルジックの産物や」

って、つい口に出しそうになりますね。

この竿が僕との相性がいいだけなのかもしれないけど、グラファイトロッドのテクノロジーはどんどん進歩していますからね。
SAGEから出た新しいスローアクションのシリーズにも興味を惹かれます。

こうなってくると、竹竿作っている作者さんには、よりいっそうの精進が求められるのじゃないでしょうか。
まあ、そこまでのモノを竹竿に求めている人も少ないとは思いますが。


ちなみに、この竿は、"Kuramochi Rod" の "Hi-Loop 8f 9in #3/4line  3pc" です。
実釣では0.5号のティペットで50㎝前後の大きめなニジマスもいなせるし、よくできています。
静加重を掛けてみるとかなり先調子の竿ですが、ラインを乗せていくとスムーズにベントして違和感なくラインを伸ばしていけます。
いい設計の竿ですね。