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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。
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2014/02/10

数年ぶりに浅草へ行く

浅草に行けばまずここ、
浅草寺門前「仲見世」です。
なんてったって、お上りさんですから。

数年ぶりに、つるや釣り具店さんの『ハンドクラフト展』に行ってきました。

好景気を演出するアベノミクスのおかげなのか、

「例年より、出展者さんも来場者も多かったよ」
と、毎年出展している友人が言っていました。

『アルケミータックル』も、友人のブースの片隅を借りて、小さく「展示」させていただきました。
だって、売り物が・・・。


開発中のグラスロッドと・・・


竹内重利さんのエングレーブが施された
"The Alchemy Japanese Trout Reel"

今回の上京の目的は、

竹内さんにエングレーブをしていただいたリールを見せびらかすこと、と、

いま開発しているグラスロッドのプロトタイプを、つるやさんのショウに集う、ひと癖もふた癖もあるロッドメーカーさんや、ロッドマニアの方に、実際にこの竿を振ってみていただいて、どのような評価を得られるか、を自分の耳で聞いてみたかったから、です。

このグラスロッド、かなりのパラボリックアクションなので、どう評価されるか、にはかなりの疑問をもっていました。
でも、実際に振って頂いた、作る方にも使う方にも百戦錬磨のベテランの皆様から、たいへんな高評価を頂き、私の開発方向が間違っていなかったということで、ひとまず安心いたしました。

あとは、最後の詰めを残すだけです。



リールメーカーとして、個人的に興味があったのは、この"NAKA FLY REEL MAKER"さんです。


NAKA FLY REELS

これらのリールは、すべて、細かなパーツのひとつひとつまでも、市販品は使わずに、おひとりで製作されています。

ほんとうの意味でのハンドメイドですね。

写真ではわからないかもしれませんが、このリング部分のニッケルシルバーの細工、そしてハードラバーの仕上げのすばらしさ。
それに内部構造の面白さ。

リールを作ったもの、作ろうと試みたもの、だけにしかわからない、完成までに途方もない手間と、長い時間が掛かったリールです。

リールメーカーの私が、いま、いちばん欲しいリールですね。

正直にいって、他に出展されていたリールとは目指している次元が違います。
ほんとうに、すばらしい!

もうちょっと、ここがこうなっていれば・・・、
っていうポイントも、いくつかあるんですが、そんなことは些細なことですよね。



NAKA FLY REEL


そして、この菊地さんの竹竿です。










普通のニッケルシルバーのフェルールに見えるでしょ、

でも、これはグラファイトフェルールなんですよね。

もう、マリオのグラスフェルールなんて・・・






あと個人的にいちばん興味があったのは、これ。

いにしえの博物学図鑑。

モノクロ版画に手彩色っていうのが凄いです。








シェフさんと、ハッピーフェイストラウトの井澤さん
なにを話しているんでしょうか・・・

2013/12/24

「バンブーロッド教書」を読んでみた




この2013年の12月に出版された『バンブーロッド教書』と、どうしても比較されるのが、
1999年に同じ「フライの雑誌社」から出版された『アメリカの竹竿職人たち』だと思います。




この2冊の本が出版される間に、14年の歳月が流れたのですが、その14年間に竹竿(竹類を素材とするフライロッド)の世界で大きく変化したことがあります。

それをひとことで表すと、「バンブーロッドの伝統」からの解放だと思います。
もう少し付け加えるならば、レナードやペインが代表する近代アメリカの伝統的なバンブーロッドという縛りから、メーカーやビルダーが自由になった、ということです。

その結果として、約100年にもわたって伝統的に使われてきたトンキンケーン以外の竹篠類をブランクの素材にもちいたり、これも伝統的に使われていた金属フェルール以外の様式のフェルールを使用したりといった、素材部分の変革とともに、フライロッドとして以前では考えられなかったタイプの新しいアクションを持った竹竿を作るメーカーが現れてきました。

その背景として、ネット社会の発展によりメーカーやビルダー間のデータや技術の共有が進んだからだ、などの理由も考えられますが、そのあたりの考察はまた後ですることにして、この本の書評、というよりはひと通り読んでみた感想ですね、に進みたいと思います。


まず最初に、定価3,800円の書籍を予約販売のみで売る、という販売方法にはちょっと引っ掛かりました。
本なのに立ち読みで中身を確認してから買うという方法が取れないというのは、それなりに高価な紙媒体の書籍としてはいかがなものかと思います。
いまどきの出版社の事情をわからないわけではないですが、リスクを購入者の方へ押しつけるという販売方法にはイマイチ納得できないですね。


内容に関してですが、クラッカーバレルの翻訳は、英語をスラスラとは読めない私にとってたいへん面白かったです。
ジュリアーニさんが書かれている部分は、バンブーロッドの取扱方法に関してなど、バンブーロッドへの偏愛からかもしれませんが、かなり「くどすぎ」て余計なお世話なように感じましたが。

バンブーロッド(竹竿)って、ごくふつうに注意して使えばめったに破損することはないので、このジュリアーニさんのように慎重に構えずに、もっと日常的に竹竿を使って欲しいなあ。
というのが、竹竿の好きな釣り人としての個人的な感想であり、この本を読んでバンブーロッドをはじめて買おうと思い立った方への私からのアドバイスになると思います。


世界のバンブーロッド最新事情と巻末のフライロッドの写真をもっと綿密にリンクさせることができれば、内容的にはもっと面白かったのじゃないかなと思いました。
おそらく、この国でバンブーロッド(竹竿)に興味を持っておられる方は、昔のファクトリーロッドではなく、今のメーカーやビルダーが作る竿の写真が見たいと思っておられるのじゃないでしょうか。

その他の部分は、島崎さんと三浦さんの文章以外は、なんだかどこかで読んだことのある文章や内容の再掲のように感じたのですが・・・。
いまの時代、いちばん大きく変わりつつある、この国の竹竿メーカーやビルダーのことをもっと取り上げて欲しかったなあと思います。


時代が変わった、こともあるのでしょうが、1999年に『アメリカの竹竿職人たち』を読んだときのように、読者である自分までもが著者の竹竿への熱情に感応して、そこに取り上げられていた竹竿を欲しくなって我慢できなくなってしまう、なんてコトは起こりませんでした。

それは、この本自身のせいではなく、情報や物が過剰になってしまったこの時代にはおこりがちなことなのかもしれませんが、なんとなく寂しいですね。


さて、この本、3,800円を支払う価値があったのか?
その判断は、この本を買われた読者の皆様におまかせいたします。



2013/10/21

バンブーロッドって・・・

シンプルな外観ですよね、バンブーロッドって。


バンブーロッド(≒竹竿)のメリットって、なんなんでしょうね。

このところ、ニジマス釣りにハマっているので、グラスロッドやグラファイトロッドを実釣で使う機会が多く、その性能を実感して良さを再認識しました。

そのなかで、

『なぜ竹竿なのだろう?』
『どうして、竹竿でなければならないのか・・・』

という疑問が、自分の中でふたたび頭をもたげてきました。

飛び抜けた個性や釣りやすさを持っている竹竿は、もちろん存在しています。
でも、竹でできた竿のなかにも、その竿の性能面で、その素材が竹であるという必然性を感じないものが多くありました。
ただ、竹でできた使える竿がある、という程度で、それがグラスでもグラファイトでも、僕にとって使い勝手としては大きな影響はありませんでした。

よくいわれるように、竹竿はバレにくい。

確かに、そのように感じます。
でも、それは竹竿に限ったことではなく、グラスロッドも同じようなバレにくい特性を持っているのではないでしょうか。


正直にいえば、僕が釣りに竹竿を使うことが多いのは、

『竹竿が美しい』

から、だと思います。

自然環境の中に置かれた竹竿は、本当に、惚れ惚れするぐらいきれいです。
その美しさは、竹という素材の持つ、ランダムな模様や色彩にあると思うのです。
ランダムな模様や色彩で構成された自然環境や魚の傍らに置かれた竹竿。
その美しさは半端なものではありません。

仮に、そこにグラファイトロッドを置くとどうなのでしょう。
そこに存在するグラファイトブランクの無機的な感じが、視覚の中で違和感となっているのではないでしょうか?

と考えたときに、米国製の高級グラファイトロッドのリールシートが持つ意味に行き当たりました。

そう、それは、無機的な道具の中に、たとえ一部分でも銘木で作られたリールシートという有機的でランダムな色と模様を持ってくることによって、自然界の中でグラファイトロッドを少しでも美しく見せようという試みだったのです。

それは、縞模様のある瑪瑙のリングが嵌められたストリッピングガイドにもいえると思います。










2013/03/11

異質のフライロッドビルダー

無造作に置かれた竹竿が・・・























待ち合わせた国道沿いにある洋服屋の駐車場に駐めてあるジムニーの窓の中で、そちらへ歩いていく僕を見つけて会釈する髭の濃い長髪をひとまとめにした男性は、「フライフィッシングの人」というよりは猟師のように見えた。
強いて釣り人でたとえるならば、コアな磯釣り師か、放浪のバスアングラー。
いずれにしても、竹でフライロッドを作ってる人には見えなかった、ってことですね。


京都に羽舟さんの弟子で、面白い竹竿を作る人がいる。

そんな情報を頂いたので、その方の氏名をググってみると、フリースの竿によく似たグリップ周りのデザインの竹竿を使ってフローターでバスを釣っている写真が載っているFacebookを発見。

あの極めて繊細な竿を作る中村羽舟さんの弟子が竹竿でバス釣りをしている。
そんなことはありえないような、でも、よく考えると、さもありなん、という気もしてきた。

とにかく、竹竿を作っている人に好奇心をそそられたのはひさびさのことだし、なんだかおもしろそうだったので、思い立ったが吉日とばかりに、ご自宅件工房を訪問するアポイントをとったのでした。


この、濃い顔にひげ面長髪の、とてもバンブーロッドビルダーには見えない、マタギのようなジムニーのドライバーが北岡勝博さんといって、羽舟さんの工房でしばらく修行されてきた方でした。
修行といっても、竿作りを教えてもらったわけではなく、2週間ほどずっと朝から晩まで羽舟さんの側にいて、羽舟さんの作業を見ながらいろんなことを話し続けただけだ、とのことです。

「フライの竿なんてひと月もあれば出来るようになるよ」

と平気で言われる中村羽舟さんを知っているだけに、なるほどなあ・・・、
伝えるとは、こういうことなんだろうなあ、と。

北岡さんの自宅工房には、竹片をいじるための埴輪型をしたコンロのカバーとタメ木がありました。
羽舟さんのやり方をしっかりと見て吸収してこられたようです。


北岡さんの作る竹竿ですが、

素材は近所の竹林から自身で切り出してくるマダケで、ソリッド構造、竹フェルールがメイン。
巻き糸はマダケの繊細で滑らかな肌と色を生かしたクリア(無色のシルク)。
アクションは基本的にセミパラボリック系、フライラインの乗りを重視したスロー寄りのアクション。
先端径がマッチ軸の半分もないような極繊細な竿から、先太のバスやアメマス用で#7ラインを使用する竿まで多岐にわたります。

僕の目から見ると、さすがに芸大の出身だけあって、フリース竿のデザインバランスの良さをベースにマダケの柔肌に合わせた、シンプルな中に極めて繊細な感覚のある日本のデザインだと思います。

でも、いまだにグリップのスタイルには悩まされているようです。
「どんなデザインのリールを持ってこられてもいいように」
そして
「どんな色のフライラインにでも合うように」
という2点が北岡さんがデザインを考える上でのベースにあり、そのうえで、既存のどの竿にも似ていないオリジナリティを求める。
そりゃ、難しいだろうと思います。
オールコルクのリールシートを持つグリップは、アップロックとはいえ、ふつうにいちばん使いやすいと感じられる前の少し太めなストレート気味のシガーでやっちゃうと、ヤングやフリースそっくりになってしまいますから。

そのグリップですが、いまのところ、軽くて繊細な竿には「フィッシュテイル」で落ち着いているようです。

不思議な形の段落としになっているグリップは、トラウトロッドです。






















工房でひとしきり話したあと、近くの神社の裏にある森の中へ移動して北岡ロッドを振らせて頂きました。

ラインを通さないで振ると、柔らかいなあと感じます。
こんなに柔らかくって大丈夫かなあ、と不安にさえ感じる人が多いのじゃないでしょうか。

ラインを通すと、トルクのあるストレートなラインが前後に走り出します。
ラインのスピードを上げてもついてきますし、ゆっくりとしたラインにしても落ちそうで落ちない。
ループはきれいに解けていきながらリーダーまできれいにターンオーバーします。
アンダー気味のサイドキャストをすると、ラインが落ちないというメリットがよりよく感じられると思います。

ふたりで竿を振りながらの会話の中での、「ラインがどんなに飛んでもリーダーとフライがその先でちゃんとターンオーバーしないと意味がない」という言葉が印象的でした。
もうひとつ付け加えるならば、フライラインの軌跡にブレが見られないので、かなり精度の高い竿だといえます。


アクションの傾向は2種類あって、ひとつは、振っているうちに手に竿を持っているという違和感がなくなるようなナチュラルな感触の竿。キャスティングを意識しないでもフライラインが勝手に伸びていくように感じます。
もうひとつは、キャスティングをしたときにあえてグリップあたりにキックするパワーを持たせた竿です。この感触は言葉では表現しにくいのですが、ストロークの後半で竿がブーストを加えるとでも言えばいいのかもしれません。ナチュラルな感触は失いますが、アイディアに溢れたおもしろい竿です。

ティップがフライラインの半分ほどの太さしかない竿もおもしろかった。
あまりの細さに最初は怖々振ったのですが、おもいっきり振っても大丈夫でした。ストロークの最後でギューッとグリップを押し込んでいくと、早いラインがスパーッと気持ちよく伸びていきます。
極細のティップから繋がる竿全体としてのバランスが取れているのでこういう感触の竿が出来るのだと思います。
ただ、ティップのあまりの細さに、渓流では遡行時にどこかに引っかけて破損しそうで持ち歩くのが恐いように感じました。


このとき振らせて頂いたすべての竿がストリッピングガイドにワイヤーのスネークガイドを使っていたのでそのわけを聞くと、硬いガイドを使うと、取り込み時にそこの硬さが違和感になるのだそうです。
トップガイドは自作の羽舟式なのですが、他のスネークガイドも自作しようと、そのための治具を発注しているそうです。
北岡さんと話していると、ガイドの重さと硬さに対するかなりのこだわりを感じました。それも見た目や理屈でそうしているのではなく、体感として感じている。
この人は自分でかなりの魚を釣ってきた人だなあと感じました。


北岡さんが本業として竹竿を製作して市販するのは今年からだそうで、1本目は桐生の島崎さんが、2本目(3本目だったかも)は制作中で工房の壁にぶら下がっていました。
おもしろいビルダーさんを近くに発見したので、これからが楽しみです。


2012/03/16

バンブーロッドクロニクル 番外編

Katana 704


いい竿ってなんなのでしょうか・・・

記憶をたぐりながらフライロッドの話を書いていると、竿の善し悪しの基準ってモノが余計にわからなくなってしまいます。

2本の竿を比較検討することを続けて、どちらを選択するかというチョイスをやりつづけていくと、最後に1本の竿が残るわけです。
でも、はたしてそれがベストな1本なのかと問うと、
「なにかおかしいんじゃないか」
といういう違和感が消えません。

手元が太く、先が細くなっていて、振ったら適当にしなり、フライラインを通すガイドさえ付いていれば、その棒状の物体はフライロッドとして使えるわけです。
作った人やメーカーがフライロッドだって言えば、それはフライロッドだし、
使っている人がフライロッドだと思えば、どんな竿でもフライロッドなんですね。
世の中にあるフライロッドというフライロッドは、やっぱりフライロッドなんですよ。

だったら機能性はどうなの?っていう疑問がでてきます。
でもねえ、フライロッドは漁具ではないのだから機能性云々は絶対的なものではないですよね。

外見や感触という部分は、もう個人の感覚の問題なので、お好きにどうぞ、としかいえません。
そこに、商品としての価値というモノも絡んできます。

いい竿かどうかの判断は、価値というお金に換算できる要素を排除しても、結局は個人の嗜好や好き嫌いっていう感覚の部分にまかせるしかないわけです。

もうひとつは、その竿が持つブランドイメージって言うのでしょうか。
ステータス性と言い換えていいのかもしれませんが、自分が使っている竿を他の釣り人に見られたときに、
「その竿は◯◯ですね(暗に、いい竿を使ってますね~)」
という羨望の視線を浴びたり、うらやましがられることに、
おそらく本来的に自己顕示欲が強い釣り人は独特の快感を感じてしまう、
という、けっして否定できない欲望があると思います。

フライロッドを単純に機能性や便利さだけで選択してるわけではない、
という意味では、クルマやバイクと一緒ですよね。
また、歴史を所有しているという意味では骨董品的なモノもあるし、
手指の感覚の延長線上にあるという部分では、楽器にも似ているのかもしれません。

クルマや骨董品、楽器に関してならば、玉石混淆とはいえ、膨大な情報や批評が手に入るじゃないですか。
ところが、釣竿、フライロッドに関してはどうなんでしょう。
戦略的パブリシティ以外の情報って、ほぼ皆無かもしれません。
商品経済の中で、まあ、当然と言えばそうなのですが・・・
それにしても、もうちょっとちゃんとした批評があってもいいような気もします。













2012/03/05

バンブーロッドクロニクル その3

「レナード・・・」

この頃のレナードには、いまだ複雑な思いが・・・


結論から書くと、僕がはじめてレナードを手にしたのはかなり後のこと。

僕がペゾンの呪縛から逃れた頃、レナードは既にレナードじゃなくなっていました。
米国の釣り具業界事情はまだこの国では藪の中の出来事。
ひさしぶりに店頭に入荷した新しいレナードの竿を、これがレナード・・・、と、いぶかしく思いながらも眺めていました。
そして、ようやくガラスケースの鍵を開けてもらい、フェルールを繋いでみて、
「なんだこの竿は、欲しかったレナードじゃないやんか」
と、呆然とすることになるのです。

それまでの潔いまでのシンプルな外観を捨ててコテッとした半端な厚化粧にはしり、いかにも高価そうなレザーのロッドチューブに入ったレナードという名前の付いたバンブーロッド。
それはコスメだけではなく、アクションまで以前の、いわゆる赤巻きのレナードとは異なる、まったくの別物でした。

その数年後、レナードには最後の大きな変化があり、一般には評価の高い、いわゆるマックスウェル・レナードになるのですが、僕にとって、マクスウェル時代にはレナードは既に終わっていました。
なんだか綺麗ではあるけど黒くってへんなバンブーロッドだと思っていたT&T、その創業者の片割れがレナードの歴史に最後の変革を加えたことは、当時の僕には知るよしもなかったのですが。

今から考えると、性能的に優れたグラファイトロッドが伝統的ないかにも竹竿らしいバンブーロッドに引導を渡したんでしょうね。
そこには、グラファイト時代のバンブーロッドのあり方を模索する初期の段階で、いくつかのメーカーがバンブーロッドの本質を離れて、工芸品的なルックスを持ったグラファイトロッドに近いアクションのロッドを作ろうとして、誤った袋小路へと自らはまり込んでいった姿が垣間見られます。

僕の偏見かもしれませんが、西海岸のバンブーロッドメーカーが1970年代の終わりから80年代にかけての淘汰から生き残ったのは、伝統に執着することなく、ホロー構造などの新しい試みを取り入れながら少しずつ変革を積み重ねていったからだと思います。
対して、レナードは伝統に固執したままで行き詰まり、一気の改革を試みて失敗したのでしょう。

その後、僕が最初に手に入れたレナードは、A.C.M. 時代の38H。
クラッシックタックルショップからでした。
ふつうの赤巻きでよかったんだけど、つい変わったモノに手を出してしまいました。

この竿はずっと僕のお気に入りで、まだまだイワナがいっぱいいた富山の渓流で使い回していた記憶があります。
その頃愛用していた竿は、このレナードと、スコットのG854、そしてウインストンの7’6”#3のグラスロッドでした。
どれかに偏ることなく、バンブー、グラファイト、グラスとそのときの気分と状況に合わせてまんべんなく使っていましたね。

未だバンブーロッドマニアにはなっていなかった、ってわけです。


バンブーロッドクロニクル その2

「2本のショートロッド」


この写真も、本文とは関係ありません・・・
Alchemy M50 & Jim Hidy 7'9" #4


ファーロー「ミッジ」と、ペゾン「フェザーウェイト」

「ファリオクラブ」がキャスティング練習ロッドとなりはてている頃、僕が渓流で使っていたバンブーロッドはこの2本でした。
「ミッジ」は6フィート、「フェザーウエイト」は6フィート3インチ、どちらもショートロッドです。

もちろん、バンブーロッドばかりじゃなくグラスロッドやグラファイトロッドも使っていました。
それも、オービスではなくスコット。グラスのマルチピースとグラファイトのツーピース。

ちなみに、当時、1980年頃のフライロッド、定番中の定番はオービスの「セブンイレブン」7’11”#4と「ファー&ファイン」7’9”#5だと僕は思っています。
グラファイト時代になって、この国の渓流で使われる標準的なフライロッドは8フィート前後あたりに落ち着いたわけです。それまでは7フィートから7フィート6インチが標準だと言われていました。

いずれにしても、僕が持っていた2本のバンブーロッドは、標準から考えると、かなり短かったわけです。重厚長大な「ファリオクラブ」での失敗を糧に、バンブーロッドは重いから短い方がいい、という単純な考えで選んだとも言えますが、他にも短い竿はあったので、それだけでは選択理由になりえません。
だったら、この2本の竿を手に入れることになった決定的な理由はなんだったのか。

『リーウルフは、この竿でアトランティックサーモンを釣る』!!
『6’3”の竿で4番ラインがフルラインキャストできる』!!

というキャッチコピーに欺された、いや、のせられた。

そんなことは、いま考えたら当たり前なんですね。
だって、どんな竿を使っても、ラインさえ切れなければでかい魚を釣ることは可能です。
また、4番ラインのフルラインキャスト(ココがキャストだってことに注意)なんて、とんでもない竿でさえなければ、訓練すれば誰にでもできるわけです。

で、この2本、かなり癖が強いというか、強烈な竿でしたね。
「ミッジ」は6番ラインが指定されていました。
簡単に言えば、この竿は9フィート、3ピースのライトサーモンロッドの上から2本だけ。ようするにミッドセクションにグリップを付けた竿が原点だということ。
実際に振ってみると、6番はムリヤリって感じ、4番ラインで使えました。
6番が指定されているのは、サーモンフライはデカいので最低でも6番ラインを使わないと投げられないのでそうなったようです。
小さなグリップがカッコイイ竿でした。

「フェザーウエイト」はいい竿でした。
タイトなポイントにもビシビシとフライが入る。藪こきをしても、滝壺にはまっても太いティップはけっして折れない。
ただ、当時の弱いナイロンでは4X以下のティペットでは使い物にならず、手のひらサイズの魚はあわせた瞬間に片っ端から後ろへ飛んでいって岩に当たってお亡くなりになるという・・・

やっぱり普通の竿を買った方がよかったんじゃないか、と、いつも後悔しながら面白がっていたような気がします。




2012/03/03

バンブーロッドクロニクル その1

写真と本文は関係ありません。あしからず・・・
Alchemy M50 & Katana 704


最初に買ったバンブーロッドは、「ファリオクラブ」だった。

そのときの選択肢は、バンブーの「ファリオクラブ」とグラファイトの「スプリングクリーク」
今から考えればとんでもなく意味のわからない選択なんだけど、目的がまだ行ったことのない西別川でニジマスを釣ることだったので、なんとなくこんなチョイスになったわけだ。
だって、フライはホッパーだけ持っていればいい、と聞いていたから、デカいドライフライをぶん投げるための「ファリオクラブ」と、湧水の川=「スプリングクリーク」だろ!って。

確かファリオクラブが11万ほど、スプリングクリークが8万ぐらい。
ちなみに、バンブーの「ライムストーンスペシャル」や「バテンキル」は6万程度だったような気がします。
オービスではグラファイトロッドがバンブーロッドより高価だったんですね。
そうそう、「レオナルド」(当時はレナードとは発音しませんでした)の赤巻きは13万円台だったような気がします。

当時、フライロッドにはランク付けみたいなモノがあって、上から、ナチュラルケーン、グラファイト、インプリケーン、グラスロッド、って順番になってた。
1970年代後半ってそんな時代だったんですよ、この国のフライフィッシングの歴史において。

ナチュラルケーンのなかでも、"Pezon et Michelle"のバンブーロッドは史上最高最強のフライロッドとして、"Hardy"や"Leonard"を時代遅れの竿としてこき下ろしたようなカタログをバックに、国内市場を席巻していました。
そう思っていたのは一部の人だけだったのかもしれないけれど、僕が手に入れた情報には強いバイアスが掛かっていたんですね。
そんなわけで、僕はバイトで稼いだお金を注ぎ込んで「ファリオクラブ」を買ったわけです。
丸善でリッツの著作 "A Fly Fisher's Life" もオーダーしました。

でも、夏休みの西別川で使ったのは、そのあとで手に入れた当時最新のロッド、「Scott Power Ply G906」でした。
昼の長い夏の北海道で、早朝からどっぷり暮れるまで、何日も竿を振り続けるには「ファリオクラブ」は重すぎたんですね。

「ファリオクラブ」は、そのあとずっと、僕のキャスティング練習用ロッドとして活躍することになるのですが・・・