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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2014/01/20

グラスロッドを作ってみる


Alchemy Glass Rod Prototype "75PA"
7' 5" 4P Parabolic 4~5 LINE

フライフィッシング始めてすぐに、自分だけの道具を作ってみたいと考え始めていました。

当時オリムピックが作っていたハーディ・フェザーウエイトをコピーしたリールの塗装を剥いで塗り替えてみたり、市販のブランクとパーツを買ってフライロッドを組み上げたりして、それなりに満足していました。
しかし、それなりの数の竿を作っているうちに、ブランクからのロッドビルディングでは外観が変わるだけで本質的にはとても自分で作ったとはいえないことに気づきました。
そして、より個性的な海外のバンブーロッドメーカーが作った竹竿を使っているうちに、いつのまにかロッドビルディングからは遠ざかっていたのです。

10年ほど前に、使いたいリールが市場には無いからと、アルケミータックルという小さなフライリールメーカーを始めました。
そして、去年、数年ぶりに再起動したフライフィッシングを通じてあらたな人脈が繋がり始め、そのなかで、ブランクの設計からフライロッドを製作する機会を得ることができました。

オリジナルの竿を作りたいのなら、竹を削って竿を作る、という選択肢もあったのですが、百花繚乱の呈をみせるバンブーロッドメーカーに参入するのは僕の仕事ではないだろうと思っています。
また、それ以前の問題として、メーカーとしてある程度の数の同じものを生産するには、グラスもしくはグラファイトを素材として竿を作ることが現実的な選択でした。




ブランクから設計して、なんてえらそうなことを書いてても、しょせんは「しろうと」です。
ブランクの芯になるマンドレルの設計、シートのカッティングから始まるブランクの設計なんて技術的に高度なことが出来るはずはありません。

だったらどのようにしてブランクを作ったのか、ですよね。

作りたい竿の「見本になる竿」をブランクを作ってくださるメーカーさんに持っていって、
「この竿を基準にして、アクションはおおよそはこんな感じで、ここはこんなふうに変えて」
「素材はあれを使って、セクション構造はこう」
などという、けっこうアバウトな言葉のやりとりで、まずは最初の試作品、一本目のブランクを作るわけです。

(こんないいかげんな発注から、メーカーでどのようにしてブランクを設計するのかは、機会があるときにご紹介できたらいいな、と思っています。)


メーカーから出来上がってきたブランクを見て、曲げて、振っただけでは、それがいったいどんな竿になるのかはまったくわかりません。
とにかくフライロッドの形にして、フライラインを振ってみて、実際に魚を釣ってみて、評価して判断するしかないのです。

その試作品の竿が所期の目的を満たしているのなら、それでOK、あとは量産化すればいいだけです。

でも、この竿ってなんだか違うな、と感じたら、その違う部分をメーカーに伝えて、その違和感を解消するように設計を変更したブランクを作ってもらい、そのブランクを竿に組み上げて、またテストです。

この、試作して、テストして修正すべきポイントを見つけ出して、それを修正してテストする。
これはそう簡単なことではありません。
竹竿を作ったことのある人ならわかると思うのですが、フライロッドという竿は微妙なもので、どこかを弄るとその部分だけが変化をするというのではなく、竿の全体にわたって違うものになってしまうのです。

ヘタをすると、弄れば弄るだけ竿がおかしくなってしまう、という無限のループに嵌り込まないとも限りません。


ところで、僕が作っているこの竿ですが、試作第一号で予想もしなかったバランスの取れたすばらしい竿が出来てきました。
ただ、最初の設計意図からはちょっと外れたものなのです。

さて、どうするべきか、悩みどころです。

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