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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2013/12/24

「バンブーロッド教書」を読んでみた




この2013年の12月に出版された『バンブーロッド教書』と、どうしても比較されるのが、
1999年に同じ「フライの雑誌社」から出版された『アメリカの竹竿職人たち』だと思います。




この2冊の本が出版される間に、14年の歳月が流れたのですが、その14年間に竹竿(竹類を素材とするフライロッド)の世界で大きく変化したことがあります。

それをひとことで表すと、「バンブーロッドの伝統」からの解放だと思います。
もう少し付け加えるならば、レナードやペインが代表する近代アメリカの伝統的なバンブーロッドという縛りから、メーカーやビルダーが自由になった、ということです。

その結果として、約100年にもわたって伝統的に使われてきたトンキンケーン以外の竹篠類をブランクの素材にもちいたり、これも伝統的に使われていた金属フェルール以外の様式のフェルールを使用したりといった、素材部分の変革とともに、フライロッドとして以前では考えられなかったタイプの新しいアクションを持った竹竿を作るメーカーが現れてきました。

その背景として、ネット社会の発展によりメーカーやビルダー間のデータや技術の共有が進んだからだ、などの理由も考えられますが、そのあたりの考察はまた後ですることにして、この本の書評、というよりはひと通り読んでみた感想ですね、に進みたいと思います。


まず最初に、定価3,800円の書籍を予約販売のみで売る、という販売方法にはちょっと引っ掛かりました。
本なのに立ち読みで中身を確認してから買うという方法が取れないというのは、それなりに高価な紙媒体の書籍としてはいかがなものかと思います。
いまどきの出版社の事情をわからないわけではないですが、リスクを購入者の方へ押しつけるという販売方法にはイマイチ納得できないですね。


内容に関してですが、クラッカーバレルの翻訳は、英語をスラスラとは読めない私にとってたいへん面白かったです。
ジュリアーニさんが書かれている部分は、バンブーロッドの取扱方法に関してなど、バンブーロッドへの偏愛からかもしれませんが、かなり「くどすぎ」て余計なお世話なように感じましたが。

バンブーロッド(竹竿)って、ごくふつうに注意して使えばめったに破損することはないので、このジュリアーニさんのように慎重に構えずに、もっと日常的に竹竿を使って欲しいなあ。
というのが、竹竿の好きな釣り人としての個人的な感想であり、この本を読んでバンブーロッドをはじめて買おうと思い立った方への私からのアドバイスになると思います。


世界のバンブーロッド最新事情と巻末のフライロッドの写真をもっと綿密にリンクさせることができれば、内容的にはもっと面白かったのじゃないかなと思いました。
おそらく、この国でバンブーロッド(竹竿)に興味を持っておられる方は、昔のファクトリーロッドではなく、今のメーカーやビルダーが作る竿の写真が見たいと思っておられるのじゃないでしょうか。

その他の部分は、島崎さんと三浦さんの文章以外は、なんだかどこかで読んだことのある文章や内容の再掲のように感じたのですが・・・。
いまの時代、いちばん大きく変わりつつある、この国の竹竿メーカーやビルダーのことをもっと取り上げて欲しかったなあと思います。


時代が変わった、こともあるのでしょうが、1999年に『アメリカの竹竿職人たち』を読んだときのように、読者である自分までもが著者の竹竿への熱情に感応して、そこに取り上げられていた竹竿を欲しくなって我慢できなくなってしまう、なんてコトは起こりませんでした。

それは、この本自身のせいではなく、情報や物が過剰になってしまったこの時代にはおこりがちなことなのかもしれませんが、なんとなく寂しいですね。


さて、この本、3,800円を支払う価値があったのか?
その判断は、この本を買われた読者の皆様におまかせいたします。



2013/12/05

フラットグリップ化は、どんどん進む

SCOTT G2 885 Flat Grip

手持ちのフライロッドのなかで唯一原形を保っていた SCOTT G2 まで、グリップを扁平に削ってしまいました。

5番ライン用のスコットはオリジナルのグリップが太くて長いので、購入してすぐに、グリップを握りやすくするために直径を細くする加工は施していたのですが、フラットグリップを知ってしまった身にはそれでよしとは出来なくなってしまったのですね。

SCOTTのグリップはアップロック部分の金具の肉厚がかなりあるので、コルクの直径を細くしたとしてもグリップの下端を握ることが多い私の好きなグリップ形状とはほど遠く、どうしてもモッサリとした感触が拭えなかったのですが、グリップをフラット形状に削ることでこのロッドの使用感はかなり改善されたと思います。

ただ、釣行の前に太いグリップを扁平に削っただけだったので、サイドのエッジが立ってしまい、朝から夕方まで長時間振り続けていると、指のエッジに当たる部分になんとなく違和感を感じるようになりました。

今回わかったのは、上下のフラット面と、サイドの曲面を繋ぐエッジの形状にも気を配らないとだめだということです。
それとともに、気づいたのは指が受け取る感覚の敏感さですね。

グリップが丸いのが当たり前、というところからいちど逸脱すると、グリップ形状の混沌たる世界にはまってしまった、というところでしょうか。



※リールの固定方法についての考察

リールシートがスクリューロックだと、ロックの方向は上下どちらでもリールが落ちることはないのですが、スライドリングでリールを固定する場合、両側リングやダウンロックだと、釣りをしている間にリールの固定が緩んで落としてしまうことがままあります。
特に、リールシートに堅いウッドを使ったリールシートの場合注意が必要です。

スライドリングでの固定で、リールがいちばん落ちにくいのは、実はアップロックなのですが、アップロックの金具がコルクグリップの中に埋め込まれるので、どうしてもグリップエンドが太くなるという弊害がおこります。

これまではグリップの真ん中を持つことの多い海用の高番手ロッド以外では、アップロックのリールシートには違和感があったのですが、フラットグリップを始めとする変形グリップを使うことによってその違和感が少しは緩和されるかも、と考えています。

2013/12/02

『フラットグリップ』その2

フラットグリップ仕様になってしまった、3本のフライロッド

フラットグリップのフライロッドを使い始めてから、ほぼ2ヶ月。
普通の真円グリップの竿と、フラットグリップに改造した竿を釣りをしながら比較していました。

最初に改造した竿は、前にも書いたように、8フィート、#2~3~4、というグラファイトロッドでした。

初期の感想は、

「フラットグリップの竿って外見には違和感があるけど、グリップしたときのホールド感もよく、キャストした感触も方向性が良くてなかなかいい感じだよね」

という程度で、
グリップを削ったのは失敗じゃなかったな、
こういうグリップもありだよね、という評価でした。

ところが使い込んでいくうちに、フラットグリップにした竿はキャスティングの方向性がいいだけでなく、なんとなく竿のポテンシャルが上がったように感じるのですね。

理由としては、グリップの中まで曲がり込むことで、竿のアクションする部分(負荷が掛かると曲がる部分)の有効長が長くなったからだと考えられるのですが、これはその竿がもともと持っているアクションの傾向にも左右されると思います。
どちらかといえば、ファーストテーパーな竿や、グリップ直上にスウェルが設定されている竿よりも、比較的スローテーパーで、グリップの中まで曲がり込むような設計の竿で、この現象はよりはっきりと現れるのじゃないでしょうか。

そんなわけで、私的フラットグリップ化の第2弾は、
ポールヤングの名竿ドリッグスのテーパーをベースにした、7フィート2インチ、#4~5、のカシヤマ・バンブーロッドにしました。



いちばん下に写っているバンブーロッドがそうです。

これが、またいいんですね。

この竿のもともとのグリップは、かなり細めのストレートシガーでした。
最大径19㎜とサイズまで指定してメーカーに削って頂いたグリップだったのですが、使っているうちに、このパワーのあるパラボリックなアクションの4~5番ロッドのグリップとして長時間使い続けるにはちょっと細すぎたかな、という感想を持っていました。

このグリップをフラットに削ったわけですが・・・、
すると、グリップが細すぎたかな、という印象はなくなり、まさにこの竿にドンピシャでフィットするグリップに変身してしまいました。
いい方に意表を突かれましたね、この変化には。

この竿のフラットグリップ化の狙いとしては、フラットグリップのグリップ感と操作性の良さを求めたものだったので、ブランクの直径ギリギリの限界までフラット化するということはせずに、グリップの上下にもそこそこの肉厚を残しています。

それでも、以前は4番ラインではラインを伸ばさないと負荷が軽すぎるかな、という印象があったのですが、フラットグリップ化したいまでは4番でもいいな、っていう程度にはアクション(竿から受けるフィーリング)も変化しているように感じます。




ブランク径とほぼ同じところまでフラットに削り込んだグリップ
先端部はコルクが欠けるといやなので、肉厚を少し残しています。

この最初にフラット化した竿は、ほぼ限界までグリップを削り込んでいるので、もしかすると、グリップの強度や耐久性に難点があるかもしれません。

ただ、ここまで削り込むと、フラット化したグリップが持つ特性が大きく表れるようです。


とまあ、こんな感じで、私の所有する竿のフラットグリップ化は進んでいるのですが、先日釣りをしているときにとんでもないことに気づいてしまいました。

その日は徐々に風が強くなり天候も悪化傾向にあったので、午後からは、それまで使っていた4番ラインに代えて、5番ラインを使おうと思い、フラットグリップ化していないノーマルな(といっても、グリップは握りやすいように細くしていますが・・・)SCOTT G2 885、を持ち出したのですが、午前中ずっとフラットグリップを握っていた手にはこの丸いグリップに、ものすごい違和感を感じてしまったのです。

このSCOTTで釣りをしている間ずっと感じていたのは、表現が難しいのですが、グリップにユルい竹輪のようなモノが付いた竿を握っている感じ、とでもいうのでしょうか。
フラットグリップに比べると、ものすごくダルい、余計なモノが手と竿の間に挟まっているという感覚ですね、それがいつまでも消えなかった。

これって、けっこうマズいんじゃないか。

とも、思ってるのですが・・・。


2013/11/28

グラスロッドを作ることにした

試作ブランク、など・・・

グラス素材のフライロッドに対する興味は、あまりにも多様な竹竿へのパッションに長い間とってかわられていたのだけれど、このところの私的なニジマス釣りブームの中で、ひさしぶりにグラファイトロッドを使い始めたことから、グラス竿への好奇心も再燃してしまったようです。

そうしているうちに、自分にとってのベストなグラスロッドが欲しくなったのです。

これまでに使ったグラス素材のフライロッドの中で、手が覚えている感触として最も気持ちがよかった竿は、一般に評価の高いウインストンのストーカーや、ラスピーク、グラステックなど有名な一連の竿ではなく、なぜかウジニッキの217P4なのです。

メーカーはパラボリックアクション"Medium fast, true parabolic action"だと説明していますが、どうなんでしょ。

そもそもパラボリックアクションの概念自体がそれぞれのビルダーによって異なっているので、僕としては、バットまで曲がり込む竿で、負荷による竿の曲がりの頂点の移動が少ない竿、というふうに考えています。
とすると、パラボリックなロッドって、和弓のような曲がり方と反発特性を持つわけです。

だとすると、この竿はなんとなくパラボリックかなあ、という程度です。
構造的な特徴としては、いくつかの著名な竹竿のように、ブランクがグリップに向かって逆テーパーになってるところですね。

そんなことよりも、
フライロッドを使ってのキャスティングにおいて本質的に重要な要素は、

①竿を振ったときに、おつりが来るような気持ちの悪い振動などの違和感を感じずに、
②ごく自然にフライラインが気持ちよくターゲットに向かって真っ直ぐに進んでいき、
③ポイントの上で適度な速度でうまくターンオーバーしてくれて、
④フライを狙ってるピンポイントにスッと置いてくれる、
⑤そして、重すぎないこと、

だと思います。

それを、217P4が100%とはいえないまでも、十分に感じさせてくれたということですね。

それを実現してくれるなら、素材やアクションなんてどうでもいいわけで・・・
あとは、好みの問題だと思います。

ただ、この竿にも個人的な不満があります。
それは、グリップの形状や大きさ、といったディティールに関することと、
いまとなっては中途半端に感じられる、3ピースというセクション構造です。

グラスロッド≒3本継ぎ

が公式のように使われていますが、
そんなものどうでもいいんじゃないの、というところからスタートしました。

でも、ワンピースや2ピースは持ち運びに難があり、だったら4ピースにしようと。

ひな形としてのベンディングカーブは、217P4がベースになっています。
ただ、メーカーさんでは静的加重でのベンディングカーブ設計しかできませんからね。
実際にフライラインを振ったときにどうなるのか、は、未だ未知数です。

2013/11/07

いま話題の、『フラットグリップ』にしてみました。

上面と下面を平らたくなるように整形した、「フラットグリップ」 Ver. 1

最近、巷でなにかと話題になっているフラットグリップ。

好奇心の赴くままに、手持ちのフライロッドのなかで、最もしなやかで、グリップの中まで曲がり込む、この竿のグリップを削ってみました。
というのも、バットが硬い竿では、フラットグリップにすることによって生じるメリットのひとつが有効に生かせないと考えたからです。


今回、題材にしたのは、


KURAMOCHI RODS “stealing model  Eighty-0 TLN”

スペックは、8f 0in #2/3/4line 2pc、というフライロッドです。

この竿は、バット側にローモデラスグラファイトを使用して、セミパラボリックアクションに設計されている、ライン負荷の範囲が広いフライロッドです。
このような複数にわたるライン番手の指定は、ウォルトン・パウエルやラス・ピークのロッドを思い出させてくれます。

ティップ側に高反発の素材を用いるという素材の組み合わせ方は、バットの方により硬い素材を使うという一般的な釣竿の定石とは異なっているのですが、フライロッドという独特な使い方をされる竿のアクション設計としてコレはアリでしょうね。
ここでその理由を説明することは割愛させていただきますが、たとえば、ラス・ピークの初期のグラファイトロッドに、ティップがグラファイト、バットがグラスというコンビネーションで作られたフライロッドがあるのですが、違和感のないスムーズなキャストがその持ち味でした。


フラットグリップに整形して試し振りをした感触は、見た目から感じる違和感よりも、なかなか良好。
サムオントップでのグリップが、よりしっくりくるように感じました。

グリップに力を入れなくても、ロッドグリップが定位置にスッと馴染むような感じ、
とでもいえば、理解していただきやすいでしょうか。
親指が定位置に来て、平たいモノを押す形になるので、フライロッドを振るときの方向性にブレが無くなるというメリットがあるようです。
これが、フラットグリップ化したフライロッドの特性として、もっとも実感しやすいメリットです。

そして、フライラインを投げるときのトルクが大きくなったように感じます。
グリップがコンベンショナルな形だった以前と比較して、まったく同じフライラインを使用しても、ロッドが発生させるトルクが若干大きくなったように感じるのですね。

あえて『感じる』と書いているのは、機器に掛けて計測したわけではないので、数値としてトルクがどう変化しているのかが正確にはわからないからです。
この、同じブランクなのにトルクが大きくなることが、フラットグリップの持つ、もうひとつのメリットです。



その竿で釣った、最大のおさかな・・・

フラットグリップは、やりとりのときにも自然にサムオントップでブレることなく竿を扱えるので、
効果的なプレッシャーを掛けることができます。


3日間にわたって、この竿でニジマス釣りをしているうちに、やはり気になるところがでてきたので、

(古いペインのグリップを小さくしたような松茸型のグリップの上下をフラットに削っただけだったので、写真に見るように先端部のサイドが左右にエラが張ったような形になっていました)

より持ちやすく違和感のないスムーズな形になるように、グリップを再度削ってみました。


現状は、こんな形のグリップになっています。


横から見たところです



斜め上方から・・・



そして上から・・・

真上から見ると、トラディショナルなシガーグリップのようなかたちになっています。


僕は、サムオントップで、インデックスフィンガーをブランクにそって前にのばすようにグリップすることが多いので、
(※親指をグリップの真上に乗せて、人差し指をスッと前に出すように添える感じです。)
このかたちが、しっくりと手に馴染むようです。

ほんとうに使いやすいかどうかは実釣してみないとわからないですが、期待は大ですね。




2013/10/21

バンブーロッドって・・・

シンプルな外観ですよね、バンブーロッドって。


バンブーロッド(≒竹竿)のメリットって、なんなんでしょうね。

このところ、ニジマス釣りにハマっているので、グラスロッドやグラファイトロッドを実釣で使う機会が多く、その性能を実感して良さを再認識しました。

そのなかで、

『なぜ竹竿なのだろう?』
『どうして、竹竿でなければならないのか・・・』

という疑問が、自分の中でふたたび頭をもたげてきました。

飛び抜けた個性や釣りやすさを持っている竹竿は、もちろん存在しています。
でも、竹でできた竿のなかにも、その竿の性能面で、その素材が竹であるという必然性を感じないものが多くありました。
ただ、竹でできた使える竿がある、という程度で、それがグラスでもグラファイトでも、僕にとって使い勝手としては大きな影響はありませんでした。

よくいわれるように、竹竿はバレにくい。

確かに、そのように感じます。
でも、それは竹竿に限ったことではなく、グラスロッドも同じようなバレにくい特性を持っているのではないでしょうか。


正直にいえば、僕が釣りに竹竿を使うことが多いのは、

『竹竿が美しい』

から、だと思います。

自然環境の中に置かれた竹竿は、本当に、惚れ惚れするぐらいきれいです。
その美しさは、竹という素材の持つ、ランダムな模様や色彩にあると思うのです。
ランダムな模様や色彩で構成された自然環境や魚の傍らに置かれた竹竿。
その美しさは半端なものではありません。

仮に、そこにグラファイトロッドを置くとどうなのでしょう。
そこに存在するグラファイトブランクの無機的な感じが、視覚の中で違和感となっているのではないでしょうか?

と考えたときに、米国製の高級グラファイトロッドのリールシートが持つ意味に行き当たりました。

そう、それは、無機的な道具の中に、たとえ一部分でも銘木で作られたリールシートという有機的でランダムな色と模様を持ってくることによって、自然界の中でグラファイトロッドを少しでも美しく見せようという試みだったのです。

それは、縞模様のある瑪瑙のリングが嵌められたストリッピングガイドにもいえると思います。










2013/10/10

グラスロッドのこと その1




ここ数年、グラス素材を使ったフライロッドがブームになっているような気がします。

その実態といえは、新らしい素材やブランク構造も目新しいものがなくなり、新しい釣り方の提案もひとまわりしてしまって、新規の大きな需要を喚起できなくなったフライ業界が、一部の好事家以外の釣り人にとっては既に終わってしまった過去のモノとして忘れ去られていたグラスロッドに目を付けた、ということだけだと感じます。

いろいろなメーカーのコピーを見ても、グラス素材が最新のグラファイト素材より優位だと積極的に書いているメーカーは少なく(いや、ごく小規模なビルダーを除いては、ないかもしれません)、なんとなく積極性に欠けるものが多いですよね。

キャッチコピーに多く見られるのは、
『バンブーロッドのようなフィーリング』
でしょうか。

◯◯◯のような×××

簡単にいえば、代用品。
もっとあからさまにいうと「まがいもの」、似て非なるモノってこと。
本音は、自社の最新のグラファイトロッドの方がすぐれているよ、ってことです。

つまらないですよね、こんなのって。


もうひとつは、なんとなくよくわからないけど魅力がある。
という表現でしょう。
いちばん多いのは、ノスタルジックな、伝統的な、という言葉でしょうか。

同じような表現は、これまでバンブーロッドについてもよく語られていたのですが、プラクティカルな釣り人にとってはあんまり意味を持たない言葉です。
ただ、竹竿の世界においては、竹竿にしかできない機能を持ったフライロッドを具現化するメーカーが生まれてきています。

そして、フライロッド以外の釣竿の世界では、グラスロッドの持つ特性がその釣りにとって最も優れているという場合があり、そのために新しいグラスロッドが創り出されている、という事実もあります。


フライロッドとしての必然性をグラス素材で作られるロッドの中に見つけ出せるのかどうか。
そしてロッドメーカーがこのことを見いだせるかどうか、が、フライロッドとしてのグラスロッドが持つべき未来への展望だと思います。



2013/10/09

Old Glass Rod by Mario Wojnicki



1980年代の"Mario Wojnicki"のグラスロッドです。

当時の"Scott"や"Winston"などの西海岸製のグラスロッドと同じ、Kennedy Fisher"のグラスブランクが使われているようです。
ちなみに、素材はEグラスでしょう。

このロッドは、長さ8.3フィート、5番ライン用の2ピース2ティップ仕様の竿ですが、それらの2本のティップは、写真に見られるように、それぞれに"DRY"と"WET"の表記があるディフェレント・ティップになっています。

このブログにこの竿を取り上げたのは、コレクションやお宝の公開という意味ではありません。
(だって、このマリオは僕の竿じゃないのです)
このところ、ちょっとコレはいいんじゃないか、と思う何本かのグラスロッドに出会ったことが切っ掛けになって、
自分の中で、コレは!と思ったグラスロッドを片っ端から振ってみて、
『グラスロッドのエッセンスを抽出してみよう』
というプロジェクトを企んでいるからです。

記憶の中のグラスロッドをいま振ってみてどうなのか、
そして、いまグラスロッドを使ってフライフィッシングをすることにどんな意味があるのか。
意味があるのなら、どのようなグラスロッドが、なにをするために必要なのか。
それが知りたいのです。
そして、自分なりのベストなグラスロッドというモノを見つけ出したい。

『なかったら、創ってしまえ』
なんて、ことになるかもしれません。
バンブーロッドの安価な代用としてのグラスロッドじゃ、面白くないですもんね。



このフェルールの感じ、
なんとなく San Francisco 時代の Scott のような・・・

この竿は、"Paul Young"の名竿、"Parabolic 15"をグラスロッドで表現しようとした竿だといわれています。

実際に振った感触は、僕の記憶の中の、ズドンとした大砲のようなパラ15やサマーズの856とはかなり異なっていて、このマリオの竿はかなり軽快に感じました。

バンブーロッドであるパラ15は、軽量なポールヤング時代のものといえども、さすがに自重がかなりあって、川で長時間使い続けるには体力的な無理がありましたが、この竿はグラスロッドなのでそこまでの自重がないので僕の中では実用範囲に入ります。

ヤングのパラボリック系のアクションをベースにした竿でディフェレント・ティップの付いた竿、ほぼすべてに渡る印象なのですが、
「ドライティップはあくまでサブ的なもので、本来のティップはウエットティップなのではないか」
と、この種のロッドを振る度にいつも感じていました。
そして、この竿からも、やはり同じような印象を受け取りました。

ウエットティップを使ったときと比較すると、どうにも、ドライティップの方は竿の先っぽだけがヘコヘコとした感じで弱く、いいかげんに振るとラインが暴れるような感じがして完成度が低いように思うのですね。
そのティップの違和感から来るフライラインの乱れは、もちろん、振り方で制御はできるのですが、やはり、めんどくさい。

べつに、ウエットティップにドライフライを付けて釣っても、なんの問題もないと思うのですが・・・

なぜ、こんなドライティップが付いているのか、ちょっと理解不能なところがありますね。
ティップだけを使って、かなりの近距離でドライフライを使う、ということなんですかねえ?
それとも、ドライフライを使うときにはラインの番手をひとつ落として軽いフライラインを使う、ということなんでしょうか?

まあ、そもそもウエットティップという意味も僕にはよくわからないのですが、ウエットフライ用というよりは、遠投用、重いライン用、という感じを受けます。
もしくは、ヘビーなニンフを付けたタックルを使うためなのかもしれませんね。

当時の文献をよく読めばなにか得るものがあると思うのですが、いつも斜め読みなので未だにドライティップとウエットティップの意味がよくわかっていません。



2013/10/07

Wood Stick in けいほくクラフト



















京北にある京都府立ゼミナールハウスで開催された『けいほくクラフト』に、おもにフライフィッシングに関連するタックルやパーツを作っているメーカーやビルダーさんたちが「スポーツフィッシングプロモーション」としてブースを出されたので、チョコッとおじゃましてきました。




会場の近くの水場から「ガサガサ」で獲った魚やイモリを展示した水槽には、たくさんの親子連れがいつも集まっていました。

しかし、『カワムツ』が1匹数百円から千円以上で淡水魚販売店で売られている・・・、なんて話を聞くと、カワムツを100匹釣ったら◯万円、なんて妄想して、アマゴ釣りなんてやめて「カワムツ漁師」(笑)になろうか、と、ふと考えてしまいます。

って、いうかね。
『カワムツ』なんて売るなよ!!
と思うのですが、カブトムシやクワガタをお店で買う時代、これも世の趨勢なんでしょうか。





九州から来られた、"Ponta Craft"さんのランディングネット
九州の方のイメージ=男性的、と思っていたのですが、このイベントを通して知り合った方々は繊細な感性と技術を持たれている方ばかりでした。
漠然としたイメージって、なんていいかげんなものなのでしょう。

何枚もの竹を貼り合わせたフレームは軽やかな繊細さの中に秘められた柔らかな強さがあり、グリップのラインには色気を感じます。



生のアルミニウムを磨きあげた、『ブライトリバー』さんのリール

こういう素材感を生かした作品は素敵ですよね。

金属加工をしているものとして、
よくこんな手のかかる面倒なことをするなあ・・・
と、あきれながら感心しつつ、この仕事をした職人さんに対して頭の下がる思いです。

アルミニウムと他の金属の光沢や色調の違いが引き立ちますね。

このリール、長い年月を釣り場で使い込んでいったときに刻み込まれる味わいを想像すると、こたえられないものがあります。



チャーミング!!
「ブライトリバー」さんのルアーです。
なんてチャーミングな顔をしているのだろう・・・

こういうルアーをぽっかり浮かべたり、チャボチャボしながら、大きなバスが水面を割る瞬間を待つのも楽しいでしょうね。



バスとフライの世界における、異能なおふたりさま
真剣な顔をして語り合いながら、
すごく短い、なのに、すばらしく官能的なフライロッドを振る、松本さんと北岡さん。

ですが、あえて、説明はいたしません・・・(笑)

2013/09/21

ハイテクリールって、どうなの? その4

LONARD MILLS & ALCHEMY
ふたつの Model 50





























ハイテク・フライリールの"HATCH 3+"をニジマス釣りでしばらく使い続けてから、
通い慣れたいつものエリアで、1日の釣りの前半を"HATCH 3+"、後半を伝統的なクリックだけしか持たない"ALCHEMY Model 50"で通してみました。

そして、この9月、ニューヨーク州のキャッツキル界隈やオーセイブルリバーでの鱒釣りを終えて、自分なりの結論を出してみました。

その結論は、クラッシクなリールもハイテクリールも、どっちもどっちだなあ、という漠然としたもの。

僕がこの"ALCHEMY Model 50"リールを作り始めた2004年当時、ドラグ付きのリールは小型とはいえ重いものしかなかったので、ライトタックルの釣りでは、ハーディやオービスなどが作っていたシンプルで軽量なクリックリールのもつ優位性は自分なりに明白だったのですが、最近になって軽量かつ軽いテンションでも効果的な優れたドラグを持つフライリールが出てきたので、どうなのかなあ? 
と思って始めた実験でしたが、

『トラウトフィッシングに使うフライリールは、基本的な機能さえ満たしていれば、ドラグの機能はあまり釣りの結果には影響しないんじゃないか・・・』

という、自分的には予想されていた結論にふたたび至ってしまいました。

ただひとつ、これも予想できていたことなのですが、フライリールの直径がフライフィッシングで釣りをするすべての過程において、使い勝手にかなり大きな影響を与えるということがわかりました。
このリールの直径は、ドラグのあるなしよりも釣りのプラクティカルな部分に大きな影響があると思います。
ラインへの巻き癖の付きにくさと、ラインを回収するときの巻き取りの速さが、フライフィッシングというけっこう面倒くさい釣りをやたらと安易に、簡単にしてくれるのです。
これは、フライフィッシングの経験が豊かな人ほど実感できるのではないかと思います。

フライフィッシングでいちばんやっかいなこと、
それは、リールからは引き出したものの、いまは必要のない、手元に弛んだいらないラインをどう処理するかなんですね。

この手元や足下にある、ループ状に弛んで緩んだライン。
これがあらゆるトラブルの元凶になってしまうのです。

フライフィッシング以外には、リールを使った釣りで釣りをしている最中に余ったラインが弛むということはほぼありません。
それよりも、ラインが緩んだら即トラブルで釣りにはならない、と言った方が適切かもしれません。

僕にとって、フライリールのラージアーバー化はあきらかな効果を感じるけれど、ドラグに関してはラインを引き出し、引き出されるときにバックラッシュさえしなければ必要十分だということです。

そう考えると、初代のLOOPリールって、ほんとうの意味でのフライリールの革新でした。
それに1900年代前半のHardyに見られる一群のラージアーバータイプのリール。
これらのリールを見ていると、いまさらながらに一部の釣り人やメーカーがリールの改良に掛ける情熱や意志は凄かったんだなあ、と、感心してしまいます。




2013/09/18

2013 Catskill Rodmakers Gathering その1

"Catskill Fly Fishing Center & Museum" 入り口の看板











































9月最初の週末に"Catskill Fly Fishing Center & Museum" で開催された"2013 Catskill Rodmakers Gathering"に参加してきました。


初めて参加した"Catskill Rodmakers Gathering"ですが、その印象を正直に言えば、

「え、こんなもんなの・・・?」

って感じでした。

その原因は、僕の英語に対する理解力の低さにあるのはもちろんなのですが、
『フライフィッシングの聖地』とも呼ばれる『キャッツキル』で行われるフライロッドメーカーの祭典なのだから、もっと凄い大規模なイベントなのではないか、と、僕はこの日本で勝手に想像していたのです。
その心の中で膨らんでいた妄想に比べれば、現実はぶっちゃけ、ちょっと、いや、かなりの期待はずれでした。



運動会のテントのようなタープの下に机を並べた、フライタックルや関連商品の展示販売用のブースに出展している人やショップも僕が思っていたより小規模で、このイベントに参加されていたビッグネームのビルダーも現役というよりは、すでにリタイヤした御大やもう注文は受けていない、なんていう方々がほとんどだったようです。

芝生のグラウンドでキャスティングが出来るサイトに展示されていてたバンブーロッドも、アクション、仕上げともに、う~ん、なんだかな~というものがほとんどで、第一線のプロビルダーの製品というよりは、このセンターで開催されているロッドビルディング教室の生徒さんの習作のように感じました。


よく考えると、そうそうたるメーカーがニューヨークの周辺地域でバンブーロッドを作っていて、伝説的な釣り人やフライタイヤー、そして著名なフィッシングライターが、キャッツキルで釣りをしていた時代は、いまより数十年前、もうずっと過去の話なんですよね。
そう考えると、"Catskill Fly Fishing Center & Museum"自体が、プラクティカルな現場というよりは、もう既にレジェンドになっているのでしょう。



でも、このキャッツキルでのフライフィッシング伝説そのもの、あのリーウルフの奥様のジョアン・ウルフさんに会えてお話ができたのには興奮しました。
おまけに同行した日本の友人の作ったロッドを振って、感想も述べてくださったのですから。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


でも上記の印象は、フライフィッシング関係の道具、特にクラッシックタックルの展示販売のイベントとしてこの"Catskill Rodmakers Gathering"をみた場合です。
タックルを見たり、売り買いしたいだけなら、他にもっと効率的なショウやオークションが全米規模で運営されているのですから。


このギャザリングのほんとうの意味は、実は他にあるのです。


同じ趣味を持った大人が、全米からこのキャッツキルに集まって、以前から知っている人も、この場が初対面の人も、みんなで同じ食事をとったり、キャスティング大会に参加したり、様々な講演を聴いたり、と、『フライフィッシング』というひとつの趣味を核にして、それぞれが楽しめる場なんですね。

特筆すべきは、このギャザリングに集まった人々、その平均年齢はかなり高く、60~70歳代、いやそれ以上80~90歳代なのではないか、と思われるの男性と、かなりの人数の女性が楽しそうにこのフライフィッシングのイベントに積極的に参加されていることです。

また、車イスに乗ったご年配の方を何人も見かけたことが特に印象的でした。
ハンディキャップを持った方やお年寄りもが楽しめる趣味であるアメリカのフライフィッシングの奥行きの深さを感じます。


アメリカでは、高齢になってもフライフィッシングを楽しめる場所や環境があるということがうらやましい反面、裏を返すと、フライフィッシングを楽しむ年齢層がアメリカでもかなり高齢化してきているのも事実のようです。

ただ、お仕事で忙しい年代の人々は、せっかくの休暇に、こんなところに集まって会話に時間を潰しているよりも、実際に釣りをしていたい。
みんなで集まって飲み食いしながら、楽しいけれどもとりとめのない会話でうだうだと時間を潰すのは、リタイヤしてからで十分だ、と思っているのかもしれません。









2013/05/17

ハイテクリールって、どうなの? その3


"Model 50"(ドラグなしクリックのみ、小径スプール) と、市川のニジマス

いつもの愛用リール、"Alchemy Tackle Model 50" を使用した前回の釣行の記録から。

『ドライフライで7匹掛けて、1匹は切られ、3匹は途中でフックが外れた。
ティペットが細いので、フッキングがどうしても甘くなってしまう。
6Xだとガツンとあわせるのは不可能なので、こんなものか・・・』

『最後のヤツは視界の片隅にライズらしい波紋が見えたのを直撃して掛けた魚。
ジャンプするわ走りまくるわで、逃走経路をふさぎながら川のなかを追いかけ回してたら、びしょ濡れになった。』

『切られたのは、手元で下に落としたラインが木の根みたいなのに引っ掛かって、走るマスにあわせてラインを伸ばしてやれなかったから。
いらないラインはこまめにリールに戻しとかんとあかんね~(--;)』


この日は、7匹掛けて、1匹ラインブレイク、3匹ばらし。
ランディングの成功率は、3/7 ≒ 43%


"HATCH 3+"(もちろん、ドラグ+ラージアーバー、カウンターバランスのフル装備) と、神河CRエリアのニジマス 


そして、今回、ハイテクリール HATCH 3+ を使用したときの記録はこれ。

『高性能なドラグは、海では必要やけと、川では絶対に要るとまでとは言えんね~
ただ、ラージアーバーは、手元や足元に余ったいらんラインの始末が楽になるのは確かやわ。
ラインの最後のほうまで癖つかないしね、
もうちょっと試してみるわ。』

『デカイのバラした!Σ( ̄□ ̄;)
おもいっきり上下に走り回ってジャンプ3回、対岸の石の下突入はくい止めたけど、凄い速さで足下に突っ込んできてラインテンションを緩めて針はずしよった…』

結果的に10匹掛けて、1匹ラインブレイク、5匹を途中でばらす。
ランディング率は、4/10 = 40%



これら2日間の記録とデータからわかることは、

「どっちのリールを使っても、ニジマスをランディングできた確率はほとんど変わらない」

ということです。

う~ん・・・、
ハイテクリールは効果なかったのか?

どうなんでしょうねえ。

クラシックなリールの愛好家としては、
「してやったり!!」
って、ところなんですが・・・

騙されてはいけません!
30年以上「しょぼいリール(笑)」を使い続けていた人のテクニックを侮ってはダメですよ。


釣りをしながら川を遡行しているときの実感としては、ハイテクリールを使うと、フライフィッシングの過程全般にわたってラインの処理にあんまり気を使うこともなく、その結果、釣り自体がかなり楽になったように感じました。
ポイントまでの距離が変わったときや、次のポイントへと歩き始めるときに、伸ばしたラインの回収が素早くなる、ということが大きいですね。
これには、スプール径が大きい、というリールのフォルムが影響しています。

ドラグに関しては、魚との関係が膠着状態になったときに、「指ドラグ」に神経を使うことなしに、片手で竿を持っていればいい、という安楽さが大きいかなあ、って感じました。
そもそも、6X程度のティペットで逃走するニジマスを流れのなかで止められるはずもなく、ドラグがあろうとなかろうと、ほぼフリーラン状態にする以外に方法はないですから。

ここで、ある一定のテンションが掛かっていると、完全フリーのときと比較して魚が遠くまで走らないのか?
という疑問はありますが・・・
どうなんでしょ??
僕にはわかりません。
強いて言うならば、魚が止まりたくならないと止まらないので、流れのある川では関係ないような気がします。

ただ、川に入って魚を追いかけるときは楽ですね。
これも、ラインのテンションに気を使わなくてもいいからです。

よくわからないのは、こういった細いティペットでの釣りで使うドラグテンションの設定値ですね。
海ならば、ティペットの強度があるので設定はわりと簡単なのですが・・・


このブログを書きながら、気づいたのですが、
ハイテクリールを使うと、釣りが楽になるのは確かなようです。
ただ、それが釣果に影響するかといえば・・・

どうなんでしょうね~(笑)


今日までの段階では、
トラウトフィッシングに関しては、ハイテクリールのドラグ性能はともかくとして、ラージアーバーのメリットは、ものすごく大きいと感じました。

そして、僕は、この程度のメリットでは、リールが重かったら使わないよね~、ってこと。

ペイトやマクニースのトラウトモデルのような、高性能なドラグは付いているけど自重が重たいトラウト用のリールは、やはりアウト・オブ・デイトな骨董品の範疇に入ってるな、ということです。


まだまだ、続きます・・・









2013/05/16

ハイテクリールって、どうなの? その2

今日は、HATCH 3+ の内部構造を見てみました。

スプールを外すと、こんな感じ。
スプールはセンターにあるノブを緩めることで簡単に外れます。
工具は必要ありません。


次にドラグ部分を開けてみました。
購入時に添付されている6角レンチで簡単に分解できます。


ドラグシステムは簡単に分解できます。
フレームのセンターに見える6角柱にワンウエイベアリングが内蔵されていて、
この部分を上下に反転させることによって、簡単に巻き取りの方向を変更できます。


ドラグ部分を抜き出してみると・・・
う~ん、水滴が付いていました。

ということは、この部分の密閉は完全ではありませんね。


水滴が付いています・・・σ(--#)

ドラグ内部は、ステンレスプレートと摩擦材を何枚も重ね合わせています。

この、PLUS 3 リールの場合は、ステンレスのプレートとカーボン系の摩擦材の組み合わせが3セット使われています。

このドラグ内部を分解するには特殊な工具が必要なので、分解はここまでです。



文字が読みにくいですが、ワンウエイベアリングはドイツ製です。
でも、綿棒で擦っても取れない、錆っぽい汚れが・・・


このリールは中古で手に入れた物なので、前オーナーが使用している間に水分が侵入して錆びたものだと考えられます。

ちなみに、リール本体の表面の程度から見て、使用頻度は少なそうです。
侵入した水分が抜けにくそうな構造なので、このようになったのだと考えられます。

この部分を見る限り、このリールをソルトウォーターで使用するには、ちょっと考えさせられるものがありますね。
ドラグ機構が中途半端に密閉されているので、これって、どうなのかなあと思います。

使用後にざっと水で流してOKという感じで長い期間がたつと、知らないうちに内部にダメージが及んでいるかもしれないですね。
私見ですが、このリール、メンテナンスフリーではないと思います。



綿棒で示している部分に、
防水用のOリングが嵌められているのですが・・・
水分の侵入は防げなかったようです。

2013/05/15

ハイテクリールって、どうなの? その1

市川、神河CRエリアのニジマス
『HATCH 3+』

いちおうリールメーカーの末端に連なるものとして、ひさしぶりに興味を持ったリールがコイツです。

ウォーターワークスの系統もデザインは個性的で、性能的にも問題なかったのですが、クリックの樹脂パーツが丸見えなのが興ざめでした。

この Hatch リールですが、機械屋としても、大きなモデルにも小さなモデルと同じドラグパーツを用いて、ドラグプレートの組枚数を増やすことで摩擦の生じる接触面積を拡げて必要とするブレーキ能力に対応しているという合理性、そしてフレームとフットを一体で削りだしているというところに興味を持ちました。

でも、

「フットが曲がったらフレームも交換かい」

って、突っ込みたくもなりますが・・・それは置いといて、まず外観のチェック。

加工精度は、良好ですが、マシニングの切削痕が残っているなど、手間暇の掛かる仕上げには甘さがあるのはご愛敬、ってことにしておきましょう。
なんてったって、大量生産品ですもんね。

同じフレームに、ラージアーバーとミッドアーバーがあって、糸巻き量が違う設定になっています。
僕の手にしたコイツはどっちなんだろう?
パッケージにはスプールの違いが書かれていないので、比較せずに1台を見ただけではよくわかりません。

この個体は、100ヤードほどのバッキングを巻いて、DT4Fでちょうどです。


実際に使ってみてどうだったか、ですが、
ソルトウォーターでは強力で精度の高いドラグは必需品だと感じています。
でも、このサイズのリールにまでドラグは必要なのかな?
という疑問は、僕のなかではいまだに解消されていません。

僕は、もともと昔のハーディや両軸リールというシンプルなフライリールを使って数十年間のフライフィッシングをなんとかやってきているので、ラインを引き出すときにバックラッシュが起こるリールは論外としても、ソルトウォーター以外では、ドラグに関しては、あればいいな、とは思っていますが、ドラグを付けるために自重が重くなってまでは必要ないだろう、という程度に考えていました。

じゃあ、なんでこのリールを手に入れて使ってみたのか?
ですよね。

最近、近場に『市川、神河CRエリア』という大きなニジマスが釣れる釣り場ができたので、極めてシンプルな、最低限の機能しか持たせていない、自社(アルケミータックル)製のリールと比較して、最近のハイテクリールの使い勝手はどうなんだろう、という知識を得るための、単なる好奇心を満たすため、でした。
自分が使っていない物について、あれこれいうことは嫌いですから。

それと、大型のニジマスを掛けたあとで、あまりにもランディングの確率が低いのをリールを変えることで改善できるか?
という、ポジティブなリサーチも兼ねています。

続きます・・・



2013/04/16

釣り人が創る釣り場

市川・神河CRエリアのニジマス






















漁協ではない釣り人の団体が、二級河川の本流域でフライフィッシングによるキャッチアンドリリースだけを釣りの方法とするニジマスの釣り場を創った。それも、いわゆる闇放流ではなく、自治体の許可を受けて。
このような釣り場は本州では初めてのケースだと思います。

市川の神河町を流れる流域は、過去に生野銀山から流れ出していた鉱毒の影響で、漁協がなく漁業権もないという特異な流程なのですが、それをうまく活用した地域のフライフィッシング愛好家のアイディアだけではなく、それを実現させるために自治体や地元の人への折衝や根回しがあってこその現状です。

ふらっと釣りにいって、さあ、どこに車を止めようか、という時点から気づくのですが、地元の生活者の邪魔にならないように釣り人のために駐車場を整備したり、川へのアクセスポイントを作ったりと、時間とコストを掛けておられることがよくわかります。

この釣り場を立ち上げられた、H. T. F. さんのウェブサイトです。


川鵜の食害を回避する意味もあって、40cm以上のニジマスが放流されているので、すごく面白くて楽しい釣り場です。
そのかわり、難しい。
河川を利用したニジマスの管理釣り場的な感覚(関西近辺では、天川冬期ニジマス釣り場などです)では、ほぼ確実に釣れないと思います。

下流部は釣ったことがないのでわからないのですが、上流部はカリフォルニアのニジマスの川を思い出させてくれるような流れです。

釣り方のヒントは、それなりのサイズのある魚が流れのどこに付くかを考えながらフライを流していくことだと思います。
ライズしているとき以外は、土手の上から探しても魚体はなかなか見えないですよ。


この市川、神河CRエリアは、これからの釣り場です。
地元の人との良好な関係を崩さないためにも、駐車場は指定の場所でお願いしますね。


※上記、H. T. F. さんのウェブサイトには駐車場の位置も記載されています。


2013/04/05

ひさしぶりにグラファイトロッドを使ってみた

市川、神河CRエリアのニジマス
これは小さめですが、写真写りがよかったので






















川でシングルハンドのグラファイトロッドを自分のための釣りで使うのは、いったい何年ぶりのことなのだろう。

バンブーロッドの最大の弱点はロッドの長さが取れない、ということだと思っています。
これまでに使ってきた竹竿をベースにして考えると、#4ラインを使うロッドだと、汎用性を持たせると8フィートあたりが長さの限界のように感じます。
もっと言えば、一部の異能な作者が作る竹竿を除外すると、7フィート代半ばまでが竹竿のおいしいところだと思っています。

いま、ちょっとはまっているプールには、緩くて複雑なイヤラシい流れのなかにライズポイントがあり、そこを釣るためにはどうしても竿のリーチが欲しいので、やむをえず自分の中で決めていた「川では竹竿しか使わないという」趣旨を変えて持ち出した8’9"のグラファイトロッドです。

新しいグラファイトロッドが出たと聞けば、試投会や友人の竿を借りて振っていたので、最近のグラファイトロッドの性能がいいのはわかっていたのですが、釣りに使っても、やはりいい。
もの凄く使いやすいし、以前のグラファイトロッドにあった、なにか不自然な感触が無くなっている。

「竹竿なんて、単なるノスタルジックの産物や」

って、つい口に出しそうになりますね。

この竿が僕との相性がいいだけなのかもしれないけど、グラファイトロッドのテクノロジーはどんどん進歩していますからね。
SAGEから出た新しいスローアクションのシリーズにも興味を惹かれます。

こうなってくると、竹竿作っている作者さんには、よりいっそうの精進が求められるのじゃないでしょうか。
まあ、そこまでのモノを竹竿に求めている人も少ないとは思いますが。


ちなみに、この竿は、"Kuramochi Rod" の "Hi-Loop 8f 9in #3/4line  3pc" です。
実釣では0.5号のティペットで50㎝前後の大きめなニジマスもいなせるし、よくできています。
静加重を掛けてみるとかなり先調子の竿ですが、ラインを乗せていくとスムーズにベントして違和感なくラインを伸ばしていけます。
いい設計の竿ですね。




2013/03/14

Alchemy Tackle The Alchemy Japanese Trout #07




"The Alchemy Japanese Trout #07" のカタログを作ってみた。

いまのところ、売り物はこれ1個しかないのだけれど・・・


磨かれた金属の肌もいい、でも、使い込んで古びてくるとなんともいえない味が出てくる。
それが、表面処理をしていない金属のよさだと思います。

特に銅が主成分の合金はいい。

このリールに使っているブロンズ(青銅)もニッケルシルバー(洋白)も、
銅に何種類かの他の金属を混ぜた合金です。
ブラス(真鍮)も、おなじように銅の合金です。
混合の具合によって、色や特性が変わるのがおもしろいですね。


ちなみに、このリール、お値段は税込みで100,000円。

国内送料はサービスいたします。







2013/03/11

異質のフライロッドビルダー

無造作に置かれた竹竿が・・・























待ち合わせた国道沿いにある洋服屋の駐車場に駐めてあるジムニーの窓の中で、そちらへ歩いていく僕を見つけて会釈する髭の濃い長髪をひとまとめにした男性は、「フライフィッシングの人」というよりは猟師のように見えた。
強いて釣り人でたとえるならば、コアな磯釣り師か、放浪のバスアングラー。
いずれにしても、竹でフライロッドを作ってる人には見えなかった、ってことですね。


京都に羽舟さんの弟子で、面白い竹竿を作る人がいる。

そんな情報を頂いたので、その方の氏名をググってみると、フリースの竿によく似たグリップ周りのデザインの竹竿を使ってフローターでバスを釣っている写真が載っているFacebookを発見。

あの極めて繊細な竿を作る中村羽舟さんの弟子が竹竿でバス釣りをしている。
そんなことはありえないような、でも、よく考えると、さもありなん、という気もしてきた。

とにかく、竹竿を作っている人に好奇心をそそられたのはひさびさのことだし、なんだかおもしろそうだったので、思い立ったが吉日とばかりに、ご自宅件工房を訪問するアポイントをとったのでした。


この、濃い顔にひげ面長髪の、とてもバンブーロッドビルダーには見えない、マタギのようなジムニーのドライバーが北岡勝博さんといって、羽舟さんの工房でしばらく修行されてきた方でした。
修行といっても、竿作りを教えてもらったわけではなく、2週間ほどずっと朝から晩まで羽舟さんの側にいて、羽舟さんの作業を見ながらいろんなことを話し続けただけだ、とのことです。

「フライの竿なんてひと月もあれば出来るようになるよ」

と平気で言われる中村羽舟さんを知っているだけに、なるほどなあ・・・、
伝えるとは、こういうことなんだろうなあ、と。

北岡さんの自宅工房には、竹片をいじるための埴輪型をしたコンロのカバーとタメ木がありました。
羽舟さんのやり方をしっかりと見て吸収してこられたようです。


北岡さんの作る竹竿ですが、

素材は近所の竹林から自身で切り出してくるマダケで、ソリッド構造、竹フェルールがメイン。
巻き糸はマダケの繊細で滑らかな肌と色を生かしたクリア(無色のシルク)。
アクションは基本的にセミパラボリック系、フライラインの乗りを重視したスロー寄りのアクション。
先端径がマッチ軸の半分もないような極繊細な竿から、先太のバスやアメマス用で#7ラインを使用する竿まで多岐にわたります。

僕の目から見ると、さすがに芸大の出身だけあって、フリース竿のデザインバランスの良さをベースにマダケの柔肌に合わせた、シンプルな中に極めて繊細な感覚のある日本のデザインだと思います。

でも、いまだにグリップのスタイルには悩まされているようです。
「どんなデザインのリールを持ってこられてもいいように」
そして
「どんな色のフライラインにでも合うように」
という2点が北岡さんがデザインを考える上でのベースにあり、そのうえで、既存のどの竿にも似ていないオリジナリティを求める。
そりゃ、難しいだろうと思います。
オールコルクのリールシートを持つグリップは、アップロックとはいえ、ふつうにいちばん使いやすいと感じられる前の少し太めなストレート気味のシガーでやっちゃうと、ヤングやフリースそっくりになってしまいますから。

そのグリップですが、いまのところ、軽くて繊細な竿には「フィッシュテイル」で落ち着いているようです。

不思議な形の段落としになっているグリップは、トラウトロッドです。






















工房でひとしきり話したあと、近くの神社の裏にある森の中へ移動して北岡ロッドを振らせて頂きました。

ラインを通さないで振ると、柔らかいなあと感じます。
こんなに柔らかくって大丈夫かなあ、と不安にさえ感じる人が多いのじゃないでしょうか。

ラインを通すと、トルクのあるストレートなラインが前後に走り出します。
ラインのスピードを上げてもついてきますし、ゆっくりとしたラインにしても落ちそうで落ちない。
ループはきれいに解けていきながらリーダーまできれいにターンオーバーします。
アンダー気味のサイドキャストをすると、ラインが落ちないというメリットがよりよく感じられると思います。

ふたりで竿を振りながらの会話の中での、「ラインがどんなに飛んでもリーダーとフライがその先でちゃんとターンオーバーしないと意味がない」という言葉が印象的でした。
もうひとつ付け加えるならば、フライラインの軌跡にブレが見られないので、かなり精度の高い竿だといえます。


アクションの傾向は2種類あって、ひとつは、振っているうちに手に竿を持っているという違和感がなくなるようなナチュラルな感触の竿。キャスティングを意識しないでもフライラインが勝手に伸びていくように感じます。
もうひとつは、キャスティングをしたときにあえてグリップあたりにキックするパワーを持たせた竿です。この感触は言葉では表現しにくいのですが、ストロークの後半で竿がブーストを加えるとでも言えばいいのかもしれません。ナチュラルな感触は失いますが、アイディアに溢れたおもしろい竿です。

ティップがフライラインの半分ほどの太さしかない竿もおもしろかった。
あまりの細さに最初は怖々振ったのですが、おもいっきり振っても大丈夫でした。ストロークの最後でギューッとグリップを押し込んでいくと、早いラインがスパーッと気持ちよく伸びていきます。
極細のティップから繋がる竿全体としてのバランスが取れているのでこういう感触の竿が出来るのだと思います。
ただ、ティップのあまりの細さに、渓流では遡行時にどこかに引っかけて破損しそうで持ち歩くのが恐いように感じました。


このとき振らせて頂いたすべての竿がストリッピングガイドにワイヤーのスネークガイドを使っていたのでそのわけを聞くと、硬いガイドを使うと、取り込み時にそこの硬さが違和感になるのだそうです。
トップガイドは自作の羽舟式なのですが、他のスネークガイドも自作しようと、そのための治具を発注しているそうです。
北岡さんと話していると、ガイドの重さと硬さに対するかなりのこだわりを感じました。それも見た目や理屈でそうしているのではなく、体感として感じている。
この人は自分でかなりの魚を釣ってきた人だなあと感じました。


北岡さんが本業として竹竿を製作して市販するのは今年からだそうで、1本目は桐生の島崎さんが、2本目(3本目だったかも)は制作中で工房の壁にぶら下がっていました。
おもしろいビルダーさんを近くに発見したので、これからが楽しみです。


2013/02/27

ちょっと(いや・・・、かなり)驚いたこと。

Ardbeg 1973 / Kingsbury's




























アイラのモルトが好きで、10年ほど前にけっこう集めていたのだけれど、
ハードリカーの保管庫の整理をしていたら、こんなのが出てきた。
当時何本か買ってすぐ飲んだような記憶があるのだが、この1本は飲み忘れていたらしい。

最近は、年に一度ぐらいしかハードリカーを飲むことがなくなったので、ヤフオクにでも出して小遣いにしようと、いまの相場をググってみたら・・・


http://www.thewhiskyexchange.com/P-17726.aspx

Ardbeg 1973 / Kingsbury's
70cl / 47.4%
Islay Single Malt Scotch Whisky
Kingsbury's
A single cask 1973 vintage Ardbeg bottled by Kingsbury at 47.4%. This picked up an incredible 94 point average from the Malt Maniacs, with the lowest score from any of the tasters being an excellent 90/100.

£1,999.00
(£1,665.83 ex. VAT)

More Details:
CountryScotlandRegionIslayBottlerKingsbury'sBottling StatusDiscontinuedAge27 Year OldVintage1973No of Bottles228

Copyright © The Whisky Exchange 1999-2013 All Rights Reserved.
The Whisky Exchange is the registered trademark of Speciality Drinks Limited.
Registered in England and Wales (Company No. 4449145). Registered Office: Unit 7, Space Business Park, Abbey Road, Park Royal, London, NW10 7SU, UK.

・・・だと。

なんと、1,999ポンド!!

中国を中心としたアジアの経済が活発になってきてから、ビンテージワインがやたらと高騰していて困ったものだと思っていたのだが、ビンテージスコッチまで同じようになっていたらしい。

需要と供給の関係で価格が決まるとはいっても、コレは投機やねえ。
米国の友達が、有名どころのワインを樽買いして飲み頃になって売ったら、証券投資より儲かると言っていたが、このことだったんだ、といまさら驚く。

ただ、シンプルに考えると、これって、とても飲めるような金額じゃないよねえ。
というか、もう二度と買って飲もうという気にはなれない。

骨董品やビンテージの釣り具とはちがって、眺めていて楽しいものでもないし・・・






2013/02/24

KINEYAさんのフライリール

京北のKINEYAさんで製作中のパーツは見たことがあったのですが、完成品を見るのは今回のビギナーズマムさんでの展示会でが初めてでした。

浅草であった、つるやさんの展示会で売れちゃったとばかり思っていたのですが、まだあったのでびっくりです。

このリールは、KINEYAの奥居さんが気が向いたときにだけ手間暇を掛けて作るスペシャルとでもいう逸品で、京都の著名な竹屋さんから入手したという、煤竹で装飾されています。
煤竹は、数十~数百年もの長い間家屋などに使われていた、年月の経過で枯淡な色に変化した茶道具などに使われる趣のある竹材です。


KINEYA Reed 33 Susu Patina






















フレームのニッケルシルバー表面に見られる緑青(あえて生成させたものです。ニッケルシルバーは簡単には錆びない金属です)が、アシンメトリーに貼られた煤竹の素材感と相まって、侘び寂さえをも感じさせるたたずまいです。

この、いっけん半完成品か壊れたユーズド品に見えるリールを作る、奥居さんのセンスには感心してしまいます。
こういう製品を見ていると、奥居さんの中に流れる京都人の美意識が感じられますね。

このリール、お値段の付いた市販品ではあるのですが、こういう面倒なぐらいに時間と手の掛かったものは価格では判断出来ない価値があると思います。

それに、奥居さんが今後同じものを作るとは思えませんから。

スマートフォンの写真なので、質感や存在感は伝わりにくいですね。
実物は手のひらに収まるぐらいの大きさで、凝縮された存在感がすばらしいです。




リールの裏側






















2013/02/20

愛用のカップが・・・

Royal Copenhagen Blue Pheasant のマグカップが欠けてしまった。

ずっと愛用していたカップなのでこのまま使おうかとも思ったのだが、
試しに紅茶を入れて飲んでみると、右利きの僕にとって、まさに唇に触れる部分に欠けが出来てしまったので、このままでは使えない。

もっと高価なカップもいっぱいあるのだが、容量と、この口の部分の微妙な感触がよくて、家でゆっくりとお茶やコーヒーを飲むときにはこのカップばかり使っていたので、明日からのことを考えると気が重くなる。


不注意で欠けてしまった口縁



同じものをネットで探したのだが、少し古いものだし、Blue Pheasant は、短い期間しか作られていないので、いまのところ市場には出ていないようだ。

やれやれ、困ったもんだと思いながら、ものを修理するのが好きなこともあって、エポキシのパテみたいなもので成形しようかとも考えたのだが、熱い飲み物を入れて使うことを考えると有毒物質が染み出してきそうで気に入らない。
なにかいい方法はないかと考えているうちに、そういえば、漆を使った金継ぎという手法で骨董品や割れた茶碗などを直す、ということを思い出した。ただ、素人に漆が扱いきれるとも思えないし、そもそもどこで売っているのかもわからない。

ハンズに行けば漆も売っているのかもしれないけど(笑)

そんなわけで専門家に直してもらおうかと思ったのだが、
でも、そんないかにも高級そうな手法って、新しいものを買うより高くつくんじゃないか?
といぶかりながらも、Googleで検索を掛けると意外にもそこそこの値段で直してくれるらしい工房をいくつか発見した。

さっそく、見積もりを頼むメールを送ったのだが・・・

返事はまだない。

2013/02/19

毛布から創られたもの、2題。


厳密には毛布から出来ているとは言えないかもしれませんが・・・

イタリア軍御用達の毛布生地から作られた BrightliverMoss Bag と、
やっぱり毛布から作られたような、FILSON の Mackinaw Cruiser。

作られた時代も、その背景もまったく違うのですが、シンプルな素材と形のなかに道具としての機能が盛り込まれているところは同じなんじゃないかな。

Moss Bag と Mackinaw Cruiser




























フィルソンのジャケット、日本語では「マッキノウ」じゃなく「マッキーノ」と書くんですねえ。

僕は、ず~~~っと「マッキノウ」だとばかり思っていたのですが、
数十年前からそうだったんだろうか?
「レナード」と「レオナルド」みたいなものだったりして・・・。

フィルソンのマッキーノのことは、いまさら僕が説明することもないと思います。
重くて硬い密な毛布で作られた、北米の伝統的なフィールドジャケットです。

ブライトリバーのモスバッグについては入手時にFacebookに少しアップしたのですが、実物をご覧になられた方はあまりいらっしゃらないと思いますので、僕が実際にしばらく使ってみての感想などをもう少し書いてみようとおもいます。


Moss bag と、15 inch サイズのラップトップ






















2年ほど前の秋に「アートに触れる2日間」というイベントが京北であって、そこにブライトリバーの松本さんが参加されたのですが、そのテーブルに、ルアーなどのタックルと一緒にこの「モスバッグ」のシリーズが並べられていました。

そのなかにイタリア軍とフランス軍の使用する軍用毛布から作られた、というバッグがいくつかありました。

はじめて見たときから、このバッグにはすごく惹きつけられたのですが、いちおう主催者サイド?だった僕がお客様よりも先に買うわけにはいかず・・・、
なんて思っているうちに、
僕が目を付けていたイタリア軍用毛布製のバッグは売れてしまった。

このバッグは毛布からの生地の取り方や大きさなどでひとつずつ個性があるので、けっこうガッカリして、まあ、縁がなかったんだからしょうがないか、と、そのときはあきらめました。

今年になって、ずっと愛用していた古いパタゴニアのメッセンジャーバッグがさすがにくたびれてきたので買い換えようとパタゴニア大阪へ出向いたのですが、同じネーミングのバッグがなんともいえないデザインに変わっていたんです。
とてもじゃないが大人の持ち物とは思えない。
こういうときって、がっかりしますよね。

で、買わなかった。

そのときにふと、このモスバッグのことを思い出して、松本さんにメールしたのです。
在庫としてはないけど、製作した方に頼んで作ってもらえるとのことでした。

こういうのって、嬉しいですね。

仕事にも使うつもりだったので、15inchのラップトップが入るサイズで、とお願いしました。
で、やっとのことで手に入れたのが、このバッグです。

簡単に書くと、
毛布で作られたただの袋を折り返してスナップで止めただけ、
ともいえるのですが、
シンプルなものほど、それを魅力と機能性のある製品にするのが難しいことは、物づくりに携わったことがあるひとにとっては真理みたいなものです。

芯の入っていない、いっけんクタッとしたバッグですが、実際にはいろんな物を放り込めるのですごく使いやすいです。
またバッグとして持ったときに、カラダのラインで変形することによってバッグ自体がきれいなフォルムになる。
自転車に乗るときにも、カラダにフィットするのでブラブラしない。
けっこういいことずくめなバッグです。

ひとつ問題があるとすれば、小物を入れるためのポケットはあるものの、メインのコンパートメントがひとつの大きな袋なので、いろんな物をやたらと放り込むと探し出すのがたいへん?なことぐらいです。
それはこのバッグの形の美しさやフレキシブルさとの引き替えですから、僕にとっては、どうでもいいやって程度のことですけどね。




2013/02/18

はじめての市川、緒戦敗退。そして考えたこと。



ち~っとも、釣れる気がせんかった。
今日、ここには魚おらんかったもん。

すごく個人的な感想ではありますが、正直な気持ちです。

友人から、
『釣れへんで~、それでも行きたいんか』
と、念を押されてはいた。

アメリカでもニュージーランドでもそれなりにニジマスを釣ってきた経験から、
「そんなことないやろ、やり方さえ見つけたら絶対に釣れるはずや」
と、僕は思っていた。

養殖したニジマスを放り込んだ川やろ、そんなん簡単やん。・・・ってな感覚だった。
たとえ難しいとしても、僕は自分の経験の中から荒雄川みたいなものかと考えていたが、それさえも甘かった。

管理釣り場的な感覚でこの釣り場に来られ方は、よほどのよい状況に当たらなければ、失意のままにお帰りになるんじゃないかな、と思う。
はっきり申し上げて、そう簡単に釣れる釣り場じゃない。

ええことばっかり書き連ねる釣り雑誌に、またも欺された・・・
僕は魚よりもアホやん!!


そして、川を歩きながら、僕はいろいろと考えざるをえなかった。
だって、釣れないんやもん(笑)


いまの市川のフライエリアは、釣り人と地域の方々という、善意の人々の集まりから成り立っている。
駐車場の整備やアクセスポイントの設置など、地元の方の努力には頭が下がる。

ただ、まだまだプライベートな域を脱しているとは言い難い。
今後のことを考えると、この釣り場をどうしていくのかをもっと公の場に上げてそのなかで考え、例えばだが、漁業権を設定するなどの方法で管理していく方法をとらないと、いつのまにか自然になくなってしまうような気もする。

これまでにも、そういったケースを多数見聞きしてきたから。

立ち上げるのは盛り上がる情熱があるので簡単だ。
でも、それを継続させることは非常に難しい。
あの311のことですら、当事者でなければすでに記憶から薄れていってしまっているのがこの国の人々の特質だから。

ぶっちゃけて言うと、お金の収受がない≒責任がない、と考えることも出来るわけだ。
でも、お金を頂く=社会的、法的にオフィシャルなものにする必要がある。

寄付を募っている以上、お金の流れを見えるようにするためにその使途を明確にするのが大切だ。
そのうえで、たとえば予算と放流量の管理、その定着率や対費用効果の算出のために、入川した釣り人にその日の釣果や河川状況をロブブックに記載してもらう、などをすることも必要になってくるだろうし、やっぱりそれなりの経費は掛かるはずだ。
どんなことをするにも予算は必要だし、気持ちよく釣りが出来るつり場になら、釣り人(特にフライの方)はそれなりの対価を払う用意があると思う。


あえて言いにくいことを書かして頂いたのだが、
それは、このつり場を否定する気持ちから出たものではなく、

『少しでも前に進み始めた貴重なプロジェクトだからこそ、ぜひとも成功して欲しい』

との気持ちからのことなので、ご了解頂きたいと、僕は思う。
そして、そのための物事で僕に出来ることがあれば、たとえささやかなことしか出来ないとしても、どんなことでも協力させて頂くつもりもある。



頭を切り換えて、戦略的に釣った1匹
僕が釣ったわけではないけれど・・・

2013/02/14

ちょっとした小細工

すこし時間が出来たので、ブライトリバーの小型タックルボックスを少し加工してみました。


コーナーのエッジが鋭く尖っているのがわかるでしょうか。

全体の印象を考えて、ブライトリバーさんはあえてこの切りっぱなしのままで製品としていると思います。
製造物責任なんとかやらは、あえて無視して。
ブライトリバーの顧客は、そういうことを理解されているのでしょうね。
作るものと使うものとの幸せな関係が、そこから感じられます。

ここにRが付くと、たとえわずかなものでも印象が変わります。
人間の視覚って、コンマ数㎜の形状、それほど細かなものを無意識のうちに見分けているんですよ。

ただ、エッジ≒刃物ですから、そこに触れるものを傷つけてしまう可能性がありますよね。
濡れてふやけた指を切ったとか、大切なバッグが傷つくとか・・・
扱いがていねいならばそんなことも起きないのでしょうが、僕は扱いが雑なのでけっこうやってしまう。
僕は個人的にそういうのがいやなので、エッジをチョコッと加工してみました。




先ずは、手持ちの細工用ヤスリで削ってみましたが・・・

目が粗すぎて加工跡が凸凹になってしまいます。
これって気分悪いですね。






しょうがないので、耐水ペーパーで磨くことにしました。

これって、けっこうめんどくさい。
おまけに細かいダストで手もテーブルもけっこう汚れます。
食卓でやる作業じゃないですね。




で、できあがったのがこれ。

多少ユルくはなりますが、我慢の出来る範囲でしょう。
ただ、時間が掛かるので暇を見つけては少しずつ、って感じです。